貴方だけが居ない場所


ロマ二夢、彼女設定。
※最終章ネタバレ注意。
彼の優しさに触れる話。甘くない。



*貴方だけが居ない場所*



ーーー名前ちゃんお疲れ様、疲れたよね、ほらゆっくり休んで良いんだよ?ーーー

「…んっ…ロ、マ二…?」
「うん」
「本当…、に?」
「…うん」
「そっ、か…あれ全部夢だったんだ…」
「夢?」
「うん、魔神柱を倒して、人理を修復して、平和な世界になった筈なのに、其処に貴方が居ない、夢…」
「えーそれは酷いなぁ、それって僕が死んでるって事だろ?」
「うん」
「心外だなー、仮にも僕彼氏なのにぃー」
「う、ん…ごめん…」
「ふふっ良いよ、気にして無い」

横になっている彼女の頭を優しく撫でる。元からウトウトとしていた意識を今にも手放しそうだ。

「眠いの?」
「う…ん…」
「そっか、ごめんね寝てるところ邪魔しちゃって…」
「良いよ…それより、」
「ん?」

「ーーー貴方、誰…?」

「えーーー」

「ロマ二じゃ、無いよね?」

ウトウトと微睡んでいた瞳が、ゆっくりと開かれる。

「もしかして、ーーーー?」

君が俺の名前を呼ぶ。
ごめん、呟いた言葉は俺の本心だった。



貴方がくれた優しい嘘、優しい夢、優しい世界

でも、私はまだ彼の何もかもを覚えている。
温もりも、匂いも、私を撫でる手付きでさえ…

だから、だから、ごめんなさい。

気付いてしまったら、優しい嘘には浸れないーーー

目を覚まして、ホントウの貴方を瞳に映す。

「おはよう、アサシンーーー」

照れ臭そうに笑った貴方の顔に、私もゆっくりと微笑んだ。


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