何事もさじ加減 教会組


※ギル様と綺礼さんの場合。



本日、授業でカップケーキを作りました。
と、言う訳で…


「学校の調理実習で作りました。どうぞ」

「献上を許す!」

「ふむ…」


2人が私の作ったカップケーキを口に運ぶ様を眺める。
うーん…授業で否応無しに作ったケーキだったけど、目の前で食べてる姿を見ると、ちょっとだけドキドキするな…
無意識に2人を食べる姿をジーッと見詰めていると、ギル様と目が合った。


「どうですか?」


少しドキドキと期待しながら訊ねると、


「ふむ、まあまあだな」

「辛味が足り無い」


・・・・・・・。

まあね!!
この2人はどうせ、そんな様な事しか言われ無いと思ってたよ!!!知ってたよっ!!!
私のトキメキ返せっ!!!!!

って、最後の「辛味が足り無い」ってなんだよ!!「辛味が」って!!!
カップケーキに辛味もなんだも有ったもんじゃないだろ!!?
寧ろ辛味が有るカップケーキの方が不思議だわっっ!!!

腹が立った私はそのまま無言で台所に向かい、有りったけの材料をフル活用して本日二度目のカップケーキを作り出した。
勿論、その辺に(何故か)常備されている豆板醤と辛子と一味と七味とタバスコとハバネロをたっっっっっっっぷり(作ってる私自身の目が痛くなる程)ぶっ掛けてやった。

ふふふ…どんなもんだ…

綺礼の方は納得した顔で上機嫌に食していたが、ギル様は言わずもがなでドン引きしていた。
そりゃそうだ。私だってここまで破滅的に真っ赤(毒物なんじゃないかレベルで危うい色味)なカップケーキ生まれて初めてお目に掛かったんだから……
…しかもそれを己の手で生成したと成れば、尚更恐ろしい…。
それ以来、時たま綺礼さんから激辛(絶対その範疇を超えてると思うが)カップケーキ(そこまでいったらカップケーキの枠に入れて良いのかすら戸惑われる)を作る様に催促される様になった…

私は…
己の怒りに任せて取り返しの付かないことをしてしまったのかもしれない…。


因みに、あの【愉悦カップケーキ】(どうせ綺礼さんしか食べれないから勝手に命名)をギル様にも…と、笑顔で勧めると人類最古の英雄らしからぬ態度で遠慮されたので無理矢理口に突っ込んでやると無言で数日間自室に引き籠もってしまった。
拗ねやがった…
人類最古のジャイアンが拗ねやがった…

流石に可哀想になった為、お詫びの品を持って参上するとその日一日中あーだこーだと引っ付かれ遊び相手をさせられる羽目になった。
己が最初に食べた時微妙な反応するのが悪いんだぞ…
実はちょっぴり殺される覚悟もしていたのだが、口では色々言うけど案外殺されないものなんだな。うん、ギル様って意外と優しい!

ーーーもう一度言う。


私は、己の怒りに任せて取り返しの付かないことをしてしまったのかもしれない・・・!!!


*******
※五次槍の場合。



本日、授業でカップケーキを作りました。
と、言う訳でランサーの場合…


「ランサーアルバイトお疲れ様、はいこれどーぞ」


アルバイト帰りのランサーに、徐に鞄から取り出したカップケーキを目の前に突き出す。


「何だこりゃ?」

「今日の授業で作ったカップケーキ」


差し出した物を受け取るランサーに事の詳細を説明する。
ついでに先程作った【愉悦カップケーキ】も渡そうかと思ったが止めた。
彼に罪は無いので止めた。
ちょっとだけ食べた時の反応も見てみたいと思ったのはきっと気の迷いだ、先程あんな事があったからきっと私疲れてるんだ。


「ほー、そりゃありがとな」


ニカッと笑った彼の顔が余りにも眩し過ぎて私は渡さなくて良かったと心底思った。
すると彼はその場でカップケーキの入った袋を取り去りガブリッと豪快にケーキに噛み付いた。そんなにお腹空いてたのか…
豪快に齧り付きもぐもぐと口を動かすランサーをまじまじと見詰めていると、視線を此方に寄越した彼と目があった。


「美味しい?」


何と無くそのまま何も言わないのも気が引けたので無難な質問をすると、急いで口の中の物を飲み込み「スッゲー美味い」とまたまた眩しい笑顔でニカッと笑った。
眩しい…眩しいよ…ランサー…
やっぱ光の御子って呼ばれてただけの事あるな…あ……


「ん?……っ」


もう一口食べようとした彼の頬にケーキのカスが付いてるのを発見して、手を伸ばし頬に触れ取る。


「カス、付いてたから…はい取れたよ?」


付いていたカスを彼に見せる様に持ち、床に捨てるのも何かとヒョイッパクッと口に運ぶと、ランサーが驚いた様な顔をした後パクパクと口を動かしている。
ん?もしかして食べたかった??


「お、おま…っっっ」

「ん?食べたかった??」

「ち、ちがっ!そうじゃねえよ!!」

「??」

「〜〜〜〜…っもう良い!!美味かった!御馳走さんっ!!」

「あ、ゴミ貰うよ」

「…おう」


そう言い食べ終わったかと思うとランサーは、一度も此方を向かずにドカドカと早足で歩いて行った。
あ、この音は段差に躓いてこけたな。
…にしても、私なんか怒らせる様なことしたか??心無しか去り際の耳が赤かった気がしたんだけど…風邪?
ん?サーヴァントでも風邪って引くのかな??
……後で綺礼さんに確認しよう。


その後綺礼さんに確認したところ、物凄い光の速さでニタッニタの愉悦笑みを浮かべたかと思うと「それは良い事を聞いた、これで夕飯が3割り増し美味になったな…」と上機嫌に一言。
ちょっと待て、【3割り増し】ってなんだ【3割り増し】って…いつも一生懸命作ってる人(私)に失礼じゃあないですか??

嫌がらせに綺礼さんの食べ物にタバスコをぶち撒けてやったが、美味やら愉悦やらなんだかんだ言って結局嫌がらせには成らなかったって話です。
ーーーあれ?ランサーどこ行った??



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