不知火 月親衛隊!!

 
【白亜side】

「…寝ちゃった」

1分とかかる事なく眠りについた月に苦笑いしか出てこない。

月がかけてる眼鏡を外し、机の上に乗せる。

「はぁ…」

不知火 月。
腰まである長い銀髪と真っ赤な眼。
初めて月を見た時、僕は

『嗚呼、守ってあげなきゃ』

そう思った。
理事長も同じ考えだったからこそ僕に頼んで来たんだ。

月を親衛隊に入れる事、隊長にさせる事で一人部屋を確保し、相部屋をなくし他の生徒たちとの距離を作る。

此の学園では隊長になると色々な特権が与えられる。
出席免除、授業免除、一人部屋など。

極力見っからないよう、僕たちは努力して来たんだ。
此の総裁選挙で月が総裁になるのは確実のものにする為に…。

「いいか、何としてでも月に総裁の椅子に座ってもらう。
確実な票を月に捧げるんだ!」

「「イエッサー!」」

「どんな手を使っても構わない」

月を守る為に僕が結成した月親衛隊。
副会長親衛隊メンバーからなる月の為の親衛隊。

何処でもすぐ寝るような、こんな子を野放しにしてたらどうなるか…。
此の学園がどんな所かも知うずにやって来た月を、あらゆる敵から僕たちが守ってあげる。

其の為の親衛隊。

「他の奴らを蹴落としてこい」

「「イエッサー!!」」

総裁となればこちらのものだ。

生徒会、風紀委員会、全ての親衛隊のトップ。
どんな事があろうと総裁は絶対。

現在の総裁は会長の親衛隊の隊長がやってて、奴は好き勝手にやりたい放題。
どうにかしてくれ、と言う理事長からの頼みもあった。

月に安全なポジションも用意出来て彼奴の暴走も阻止、一石二鳥。
ただ、総裁選挙で月の顔が全生徒に知られ敵が増える事もだけど…
一番の問題は生徒会に月の存在を知られてしまう事だ。

其れが一番厄介。

会長は問題ない。
ウワサによると恋人がいるらしい。
此の学園の生徒でない亊は確かとか?
だから親衛隊にはちっとも興味がない、感じ。
はたから見てもそう思うんだけど…。
隊長と話してる時の会長と、副隊長と話してる時の会長が微妙な雰囲気だけど違うように見えるんだ…。
気の所為かもだけどね。

会長よりも隊長と副隊長っ方だ。
バカと其の忠実な犬。

「注意する事、決して彼奴と犬には悟られるんじゃないよ…」

「任せて下さい!」

「全ては不知火さまの為に!」

月が総裁になるまでの辛抱…。

「じゃ、解散!」
 








【月side】

目が覚めたら、隣に白亜がいた。
他の親衛隊の子たちはもう帰っちゃったみたいで誰もいなかった。

「お早う月」

「…お、早う」

「起きれる?其れともまだ寝る?」

「起き、る…」

外はもう夕陽が沈みかけてる頃だった。

「ちゃんと頭が冴えるまで、ね?」

「…ん」

暫くして頭もちゃんと働くように。
何時もオレ、色んな所で寝ちゃってさ。

其れなのに白亜は何も言わずにオレが起きるのをずっと待っててくれてる。

「白亜、何時もありがとね…?」

「何言ってんの?僕がしたいからやってるんだよ?月は気にしなくていいの」

そんな白亜の言葉を聞いたら、急に昔の事を思い出した…。

「中学の時今より全然痩せてて…」

「…月?」

「友達もいなくてご飯食べたいって気持ちもなくて…」

内ポケットから生徒手張を取り出した。

「此れ…」

「中学の時の」

生徒手張の1番後ろの頁。

「オレの初めての友だち」

3人で撮った写真を其処に挟んで何時も持ち歩いてるんだ。

「双子なんだ、此の2人」

「…双子」

「オレと同じ年で、こっちの兄の方から話しかけて来たんだ。
あとで弟を紹介されて、仲良くしてもらってた」

兄の方は綺麗系で弟は可愛い系。
兄は恋人がいて、弟は顔にコンプレックスをもってた。

「白亜と同じように普通に怒って笑って、ありがとうって言えばデコピンされてさ、俺がしたいって思ってっからいいんだよって、にっこり笑ってたからつい思い出しちゃったんだ…」

元気にしてるかな…。

「月の事だから連絡取ってないんでしょ?」

「忘れてた…」

「やっぱり。今度メールでも入れといたら?喜ぶよ」

「うん」

そんな会話の中、白亜は写真を食い入るように見つめていた。

「…」

「白亜…?」

「あ、ごめん…」

「どーしたの?」

「いや、何でもないよ」
 

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