ゲームセンターで

 
また、起きた時に俺がいなかったのがいけなかったらしい。
ムスッとして俺に抱き着いた侭離れようとはしない。

機嫌取りに俺は光を連れて寮の中にあるゲームセンターにやってきた。
何故か書記さんも一緒に。

でもやっとあの居心地の悪い部屋から抜け出せてラッキーだった。

「さぁ光?何がしたい?」

お金持ちの集まりとは言え、庶民的なゲームセンター。
色んな種類のUFOキャッチャーを始めとするゲーム機が豪華に並んでいた。

「パンダさん…いない?」

「探してみるか」

光を抱えた侭、UFOキャッチャーの商品を見ていたら

「「青柳さまっ」」

小さな可愛らしい子が2人近付いてきた。

「…何…」

「どうゆう事ですか!?」

「写真部と2人きりでこんな所に!」

光もいるんだけど…。

てゆーか、書記さんの親衛隊の子みたいだね。

「来ちゃ…駄目?」

「だ、駄目ではありませんがっ」

「ですが、此のような公の場で親衛隊ではない人と…」

「三枝は…ついてきてもらった、だけ…。此処来た事…ないから」

書記さんがそう言えば、親衛隊の子たちは俺をギロリと睨み付けるような視線を向けた。

「…本当なの?」

「あぁ、まぁ一応…」

本当は違うけど。
有り難うございます書記さん。
貴方のお陰で赤札回避出来そうです!

「なら…いいです」

「他の子たちに見つかった場合、大丈夫なように連絡回しておきます」

そう言って去って行った。

「三枝、大丈夫…?」

「大丈夫です。助けてもらっちゃいましたね…すいません」

「気にする…ない」

「…じゃあ、行きましょうか」

「ん…」

小さな子供向けのゲームは殆どなかった。

「ととっパンダさんいた!」

光が指指したのはUFOキャッチャー。
光より大きいパンダのぬいぐるみが…。

「アレほしい!」

「よしっ」

腕の見せ所だな!
此のゲームセンターでも、お財布代わりのカードキーをスキャンしてからスタート。

「パンダさんっパンダさんっパンダさんっ」

買った方が早いんだろうけど、こうゆう楽しみもアリだよね。
 
挑戦したパンダのぬいぐるみは、数回チャレンジしたけど俺には無理だった…。
だけど、書記さんが見よう見まねでやったら、簡単に取ってくれて…。
物凄く光が喜んでくれていた。

「光、書記さんにお礼言わなきゃ」

「メェさん有り難う!」

書記さんは光の頭を撫でて、ニコッとまではなかったけど笑っていた。

今じゃUFOキャッチャーでもたくさんの種類があるんだね。

アームの所が紐に結んだS字の金具で、商品に指輪くらいのワッカが付いてて、S字の金具で上手く引っ掛けるヤツだったり。
アイスピックより細い針みたいなのが付いてるのを上手く、5mmくらいの穴に通すヤツだったり。

楽しい時間はあっという間に過ぎていき、両手いっぱいにパンダだらけになっていた。

「書記さん本当に有り難うございました。
こんなにいっぱい取ってくれて…」←1個も取れなかった人

「気にする、ない…。
光喜ぶの見る、三枝も喜ぶ…
俺、嬉しい」

「有り難うございます」

一回部屋に此の荷物を置きに行かなければ。
何たって今日は焚斗に奢ってもらう日だから!

書記さんとはエレベーターの中で別れ、部屋に戻ると其処にはモジャリンコたちの姿はなかった。戻ってきたらまた厄介だからと思って、寝室に荷物を置いてまた部屋を出た。

役職についてる生徒は特別にもう1部屋与えられるんだ。
生徒会や風紀の専用フロアってヤツで。
今日は其のフロアにある食堂にお呼ばれしてて。
其処に行くには特別なカードが必要で、俺はそんなモノ持ってる訳もなく。

実は…

「先輩」

「やぁ南辺くん悪いね」

エレベーターの前に迎えに来てもらってたんだ。

「気にしないで下さい。
さ、行きましょう」

エレベーターに乗り込み、風紀専用フロアへ向かう。

「もう委員長たちは来てますから」

「そうなんだ…」

ポーン、と鳴りエレベーターの扉が開けば豪華な内装が目に入る。
有名な絵画だとか精華が飾られた大きな花瓶。
俺たちが何時もいる普通の所では拝めない品物ばっかあるから、特別なんだなと。

「ととっ、キラキラ!」

「そうだね…庶民には心臓に悪い」

「先輩?」

「いや、気にしないで…」
 

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