さぁ、行きましょうか。

 
【楓Side】

私、三枝 楓ピチピチの20歳のキャバ嬢ヨロシク。
毎日下心見え見えのハゲたオヤジたちを相手にお酒飲んで楽しませるのが私の仕事。

昨日は少し飲み過ぎて、二日酔いな私。
そう、二日酔いなの。
なのに…

「かぁえぇでぇー!」

元気よく部屋に入って来たのは私の友人であり同じ店に勤めてる竹海 譲葉(タケミ ユズリハ)。
中学からの友人で、ずっと竹って呼んでるんだけど。

小柄で童顔な彼女は昔から男にモテていた。
清楚で女のコ女のコしてるからと言うイメージが殆どなの。

本性を知らないで、ね。

「光ちゃん何処行ったのー?」

ねぇ、私の部屋に入ってきた第一声が何で光な訳?

私が不思議に思うのは昨日、同じようにお酒を飲んだ筈なのに何で竹だけ元気なのかって事…。

「光ならいないわよ」

「何で!?」

「響の学校に行ってるの…」

「ひーくんの?」

ベッドから起き上がると、気になったのは竹が持ってる紙袋。

「何よ其れ」

「此れ?ほら光ちゃんパンダさん好きでしょ?
だからパンダさんグッズをプレゼントしようと思って!」

「渡しておくわ」

「何言ってるの!こうゆうのは手渡しが一番なんだからっ」

そんな事言われても此処には光がいないって言ってるのに…。

「ねぇ楓、早く着替えて」

「…は?」

「私運転するからひーくんの学校行こう!」





無理矢理着替えさせられて助手席にいる私。

「あ、道案内ヨロシクね?」

知らないで運転するとか言ったの?

「さぁ出発っ!」

弟の響が通う学校へ。
全寮制の学園だって事、竹は知らない。
知ったらきっと煩くなるわ…。

だから、黙ってようと決心した。





私の道案内通りに進み、約2時間半かけて漸く響の通う学園に付いた。

「竹、ちょっと待って」

本当なら父親から明日、光を迎えに行けって言われてたのが友人のお陰で今日になってしまい…。
いや、迎えじゃないけど…。

「?」

「此処の理事長に連絡入れとかなきゃ」

入園許可もらわないと、そう言えば竹はそうだね!って。

電話を入れて、許可が下りて門が開いた。
 
「車は此処」

客人用の駐車スペースに停めて。

「早く光ちゃんに会いたいっ
ねぇ楓?光ちゃん喜んでくれるかな!?」

「喜んでくれるって」

光、パンダに夢中なんだから。

本当なら、此の学園は女子禁制なんだけど私は特別に許されたらしいわ。
何でもお父さんが此処の理事長の先輩だからって自慢するように言ってたし。

其れで理事長曰く、今日は土曜日でもう学校も終わってるから寮の食堂にいるんじゃないかって事を言われて私たちは客人用駐車場から目と鼻の先にある寮に入って行った。

「此処の学校の名前って、何て言うの?」

「…確か、有栖川(アリスガワ)じゃなかったかな?
有名な進学校よ…男子校だけど

「…有栖川…?聞いた事ないわ」

「私たち庶民とは縁のない所よ」

金持ちばっかのガキが集まる学校なんてこっちこそ願い下げだけどね。
きっとすぐ退学になる自信が120%あるわ、もちろん暴力沙汰でね。←

「高校なんて2年ぶり!あの頃楽しかったよね?
楓、覚えてる?楓が3年の男をボッコボコにした時の事!
喧嘩なんてアニメや小説の中でしか知らなかったから、私もう興奮しちゃった!」

ヤバい…エンジンかかったとか言わないよね…?
エンジンかかった竹、ちょっとアレだから避けたいんだけど…。

「ほら、食堂着いた」

いいタイミングでエレベーターのドアが開き、

「やっと光ちゃんに会え…」

竹が開いた先を見た瞬間、竹は目を見開き、今一番力の許す限りの声を出した。

「……男子校ー!?」

キーンと耳鳴りがするのを防ぐ為に指で耳を塞いでいたのは正解だった。

「竹、行くよ?」

エレベーターから降りた私たちを珍しい生き物を見るかのような視線が注がれる。

勝手に見るんじゃないわよ。
金取るぞガキども。

「ねぇねぇねぇ!」

「…何よ」

「もしかして此処、男子校なのー!?」

「…」

「キャー!やっぱりそうなのねーっ」

ハイな竹を無視しつつ、私は響を探した。

あの子、ちょっと地味だからすぐ分かると思ってたから、簡単に見つける事が出来たわ。
 

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