族狩り白井登場2

 
「個室があるが」

やっぱり…。

「と言う訳だ」

言い終わると、ひょいっと簡単に抱き抱えられた。
お姫さま抱っこ。

「重いから降ろして」

「何が重い?軽過ぎるぞ」

だからね?170pよ?もうすぐ60sよ?
…60sだってば。

「はぁ…皆、軽い軽い言い過ぎ…」

「文句を言うな。本当の事なんだから」

佳佑はクスクス笑いながら其の個室に足を向けた。

「此処は佳佑の縄張り?」

「嗚呼。殆どの生徒は近付かない……他を除いてはな」

今まで笑ってた顔が、無表情になっていった。

「何しにきた…」

俺以外に向けて放たれた言葉は、(一般人 だったら)背筋が凍るぐらいの冷たさ。

「そんな睨むなって、先輩」

俺もそっちに顔を向けたら、其処には見た事がない奴がいた。

「誰此奴…?」

此奴に聞こえないように、小さな声で佳佑に言った。

「白井 司だ」

白井…白井…白井…。
あ、またまた族狩りの奴ですか…。

170ぐらい?俺よりちょっと高い感じの、顔のいいタチっぽい。

つーかヤバいなぁ… 俺、今変装してねぇし…。

「今日は運がいいな。
漆黒の闇もお揃いで… 其れにしても可笑しいなぁ、漆黒の闇は此の学園にはいない筈だけど?」

やっぱりバレてる。
どーするかな…逃げるって手もあるけど、外に出たらまた厄介な事になりそうだし…。

声変えた方がいいよな、やっぱり…。

「此れ?」

そう言って今着てる制服を摘まんでみた。

「そう」

「ちょっとした知り合いにもらったんだよ。
此処さ、結構来るんだよ俺。私服だったらバレるだろ? だから、此奴らに会いに来る時は此れ着てる訳、OK?」

「……信じ難いけど、まぁいいや」

えっと、大丈夫っぽい? 本当に大丈夫…?
 
「其れにしても、先輩が漆黒の闇にお熱だとはね」

お熱って、何…?

「俺だけではない。生徒会全員だ…否、族に入ってる奴らと闇を知ってる全員だろ」

「わぉお、爆弾発言」

全員…お熱…? 本当にお熱って何。

お熱が爆弾発言…?

「皆、風邪引いてんの…?」

「「……(目が点)」」

何、俺何か変な事言った…?あれ…?

「先輩…」

「何だ」

「あのぉ…漆黒の闇って、天然なんです か?」

「……そうゆう事になるだろうが、闇の場合はちょっと違う分類だ」

「違うんスか…? じゃあ、余っ程酷いんだ……」

酷いよー!天然って酷くね? つーか佳佑っ!違う分類って何さ!!
此奴っ!余っ程酷いとか言いやがったっ!

…2人して酷い…何か、ムカつく…。

「でも、何かお邪魔虫って感じかな」

あ、そう言えば…。

「そうそう、悪いんだけど帰ってくんな い?」

大事な事すっかり忘れてたよ。

「ま、そうゆう事だろうとは思いましたけ ど」

今から気持ちいい事しようって時にくる此奴も此奴だよね。って、俺もちょっと話し込んじゃったけど…。

「後で、俺の知り合いに相手させるからさ」

「舐めてんの?」

「別に舐めてないよ。俺はアンタの腕知らないし?ま、其処らの奴よか強いってのは知っ てるけど。
でも其奴さ、俺並に強いから気を付けてね?其奴前にして気を抜かない方がいいよ。


じゃなきゃ…病院生活しなきゃならない し?」

そう言うと白井は不適に笑った。

「フッ。分かったよ。今日は此れで帰ってやるよ。但し、其の知り合いって奴の名前教えてよ」

「天倉刹那」

「へぇ、あのオタクが?ふ〜ん…そうなんだ」

俺の事知ってるんだ。

「有名な訳?」

「有名って、有名も有名さ。
あの(凶暴な)生徒会さまたちを手懐けてるっ て、ね」

手懐けてる…?
勘違いしないで欲しいな…手懐けてなんか ねぇよ。
お友達と言ってよお友達と。

「手懐けてる、な」

クスクス笑う佳佑を見て白井は目を丸くした。
 

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