お兄ちゃんの帰国3

 
俺より小さいとは言うものの、体は華奢だが身長も伸びてすっかり可愛さがなくなってる…。

いや、変装してるから刹那の可愛さが分からないんだ!!←

「もぉ止めてよ…」

兄弟の久しぶりの再会を邪魔するように一緒にいた奴らが間に入ってきた。

「刹那、誰だよ其奴…」

「見ない顔だが」

「主の知り合いか?」

「本当誰よ〜」

「おっきい人だね?」

「…」

刹那の友達、か。

「あ、すいません!
此の人は竜真って言って、僕の兄です」

刹那がそう言うと、食堂の中はシーンと静まった。

さっきまでガヤガヤと煩い周りも、一瞬にして静かになった。

「何時も刹那が世話になってるようだな、礼を言う」

「「兄貴ぃー!?」」

「え、お兄さん?」

そんなに驚く事か?
まぁ、刹那と俺は顔は似てないがな…。

「皆驚き過ぎですよ」

「似てねぇな…」

「刹那は夏希さん似だろ?」

「彼はどちら似であるか?」

「せっちゃんのお兄さんはお父さん似だって言ってたよ?」

「刹那の親父ってこんな顔してんだ…」

「凄い…」

何だか、よく分からないが此奴らとはかなり仲がいいみたいだな。

「しかし、いい友達が出来ててお兄ちゃん安心したよ…
でも、ちょっと細過ぎるなぁ…ちゃんと食べてるのか?」

「食べても此れ以上太らないし…」

「あ〜…あんなに可愛かった刹那も、こんなに大きくなって…」

「アンタは母親か!!」

突っ込みをされながらも、久しぶりに会う刹那に嬉しさを隠しきれず

「刹那ぁー」

自分から抱き着いたら、刹那も背中に腕を回 してくれた。

「お帰り」

「ただ今!」

チュ、と口にキスをする。と、悲鳴に似た叫び声が響き渡った。

「普通…兄弟同士でキスするか?」

「刹那だからじゃないのか」

「主の家族だからか…」

「う〜、もしかして刹那兄も…(刹那狙いなの?)」

「…//」
 
「泉、顔真っ赤…」

可笑しい奴らだな。

「家族なんだから、キスは挨拶代わりだろ?」

「そう、かな…」

「刹那を限定にじゃないのか?」

「まぁ言えてるね」

何をそんなに驚いているんだろうか、此奴らは…。

「お昼ご飯は食べたの?」

「いや、まだだ」

「じゃあ一緒に食べよ?」

「そうするよ」

席に座って注文の仕方を刹那から教えてもらう。

「コンタクトしてるの?」

「嗚呼」

俺の目は黄緑だからな。
取り敢えず、カラコンしてる。
しなくてもいいが何かと周りがウザい。

「元気そうで安心した。
こんな山奥の狼の巣に入ったって事を聞いたら、血の気が引いたよ…其れと同時に夏希の殺意も芽生えた」

「「(く、黒いものが見える…)」」

「…兄貴」

刹那が、俺の事兄貴って……!!
刹那がっ!!

「前みたいにお兄ちゃんって言ってくれないの?」

「いや、普通に無理だよ!そんなキャラじゃないし…」

「お兄ちゃんって言ってよ刹那ぁー…!!」

「はぁ…」

「「(かなりのブラコン…)」」

話しながら食事を済ませて、刹那と管理人室に行く事となり席を立つ。

「はい刹那!」

にっこり笑って俺は刹那に手を差し出した。
すると、刹那は意味を理解出来ずに首を傾げた…。

駄目じゃないか刹那っ!!
そんな可愛い仕草しちゃ!
お兄ちゃんハグハグしたくなっちゃうよー!!←

「…手、繋ご?」

「嗚呼、はいはい」

クスクスと笑いながらも差し出した手に刹那は手を重ねた。

歩き出した時。
刹那の前に出た足を見つけ、眉間に紫波を寄せた。

俺の可愛い弟に…。

「何をしている…」

「狽ヲっ…」

「今度弟に何かしてみろ、貴様を地獄の底に突き落としてやるから覚悟しておくんだな…」

「ひっ?!」

ギロリ、と睨み付けて刹那の手を引いた。

くそ…こんな奴がいるとはな。
嗚呼、さっきの(居場所を教えた)奴も…
だからあんな不思議な表情をしていたのか…!?
 

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