偽の空座町の空の上。

十刃と従属官(フラシオン)、死神と仮面の軍勢との戦いも終わりに近付いていた頃。
其れを合図に、私は動いた。

「ハリベル、ご苦労だったね。君の役目は此処で終わりだ」

「藍、染…さま?」

―ブシュッ

私が斬り付けた場所から大量の血が体から吹き出した。

「狽ネッ…」

「『私たち』の未来に、今の君たちは必要ないんだよ。
悪く思わないでくれたまえ」

こんな死神程度に手こずる破面なんて、必要がないんだ。

他の破面も、作り替えなくてはな。
こんなにも使えないとは思ってもいなかったよ。

「残念だ」

「…あ…藍ぜ…」

「藍染!テメェ!仲間に何て事するんだ」

「…日番谷隊長さっきも言った通り、もう必要がなくなってしまったんだよ。
死神如きにこんな無様に負ける部下を、私は持った覚えなどないからね。
折角崩玉を手に入れて作ってあげたと言うのに、本当に残念だよ」

「………」

ゆっくりと落ちていくハリベル。

「藍染、血迷ったか!!」
 
「血迷う?私は至って普通だよ」

クスリと笑った。

「もうそろそろかな…。ギン、要」

「何でっしゃろ?」

「…」

「もうそろそろ来るから早く始末してしまおうか」

「了解v」

「御意」

もうそろそろ、あの子が此処にやって来る。
私の最愛の子が。

こんな無様な様を見たら彼は悲しむだろう。

死神如きに…

そう思って悲しむだろう。

「藍染っ!仲間を何だと思ってやがんだ!!」

「仲間?
彼らは駒なのだよ、日番谷隊長。
駒は指示通りにしなくてはならない、そうだろう?」

皆殺し。
彼は其れを望んでいるから、其の指示に背いたらただの捨て駒にもならないゴミだ。

価値のない存在。

「彼奴らはお前を慕ってたんじゃねぇのかよっ!?」

「だろうね」

「じゃあ何故だっ」

「私には、彼らは不要だからだよ。
私が求めるのはただ1人、1人だけなのだからね」

「求め、る…?」

日番谷隊長もよく知ってるあの彼だけでいい。
あの子が望むなら、私は精一杯尽くそうじゃないか。
 
「いずれ分かるさ」

日番谷隊長はハリベルとの戦いでかなりの負傷で立ち上がるのがやっとな様子だった。

「っ…」

「私とあの子との未来を此の手に掴める日をどれだけ待ち望んだ事か…」

スタークもバラガンも終わったか…。

本当に残念だよ。
微かにも期待していた私は馬鹿だったようだ。

死神以上の力を与えてあげたつもりだったのだかね。
もっと改良が必要かな。

「さぁ、出ておいで私の僮(しもべ)たち」

ゆっくりと刀を抜き、空を斬る。

其の空が歪み、何kmと続くガルガンタが開きズラリと並んだ僮たちの姿。

「さぁ、思う存分楽しみたまえ」

大小様々な破面落ちした者たちが、偽の空座町へと足を踏み入れた。

此れは前座なのだよ。

如何に楽しんでもらえるか。
もちろん死神ではなく、あの子にね。

「待ち遠しいよ」

さぁ、早く顔を見せてくれ。

私はずっと待っているから…。



end...





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