君の夢が | ナノ


番外編



「だ、大丈夫?」
「待って…今、動けねぇ」

汗だくの背中を拭いてあげようとタオルに手を伸ばすとその手を掴まれ、強引にキスをされる。

「どこ行こうとしてんだ」
「ちが、!光来くんの汗、拭いてあげようと思って」

そう答えると光来くんは「悪い」と一言謝って、ゆっくりわたしの中から自分のモノを抜き出した。圧迫されていたモノが急に自分の中から無くなり、ちょっとした喪失感で心が寂しくなる。避妊具を外し、ゴミ箱に捨てながら光来くんはわたしを横から抱きしめて「ありがとう」と耳元で言ってくる。その言葉がなぜか無性に泣けてしまって、わたしは光来くんの胸元で泣いてしまうことになった。

「そんな痛かった!?大丈夫か?血出てたけど、もう止まってるから安心しろ。な?」
「ちがうの〜〜〜」
「なんで泣いてんだよ〜」
「幸せで、光来くんのことが好きすぎて、涙が、止まんなっ、」

そこまで言えたのに、残りは光来くんに全て奪われて苦しいくらい抱きしめられる。

「俺、人生で今が1番幸せかも」
「……まだまだだもん」
「え?」
「わたしがもっと、幸せにしてあげる」
「おっ、おまえ!あんまそんなことばっか言うな!」
「なんでよ!」
「可愛すぎたら、勃っちまうだろーが!」
「…!ば、バカ!今日はもう、絶対、絶対絶対無理!」
「んなこと、わかってるわ」

そう言いながら光来くんはわたしの頭を何度か撫でて、枕元のペットボトルに手を伸ばす。わたしに「飲むか?」と先に聞いてきてくれて、また光来くんのことがすきになってしまう。気怠い体を起こしてペットボトルの蓋を開けようとするがなぜか手に力が入らなくてベッドの上に落としてしまう。

「ずっと体に力入ってたもんな。疲れただろ」

と、光来くんが蓋を開けてくれ喉を潤す。思っていたより疲労が溜まっていたのか少し睡魔もやってきた。シャワーを浴びに行く元気は、正直ないかもしれない。汗か何かよくわからないが体はベタベタで気持ち悪いけど、光来くんと少しでも離れたくなくてぎゅっと抱きついてしまう。

「お風呂、行かなきゃだよね」
「無理しなくていいぞ」
「でも、光来くんの布団汚しちゃう」
「そんなこと気にすんなって。ほら、目閉じて寝ろ」

光来くんの手で視界を遮られ一瞬で瞼が落ちそうになる。半分以上夢の世界に行ってしまい、ふわふわとした意識の中わたしはずっと光来くんに聞きたかったことを聞いてみる。

「ちゃんと、気持ちよかった?」
「当たり前だろ。なまえこそ、気持ちよくなれたか?」
「…う、うん」
「照れんなよ」
「だって、」

ふぁあ、とあくびをして光来くんを求めて更に力を込めて抱き締める。このまま素敵なムードで眠りにつけるなんて幸せだなぁと光来くんの体に頬を擦り寄せると光来くんが何かを思い出したのか「あ!」と嬉しそうに声を上げた。

「なまえのそれ、元から?」
「…?」
「パイパンだったじゃん」
「ぱ、…」
「はじめてパイパン見たけどまじですげぇ興奮した!」

パイパン………と脳内で3回ほど繰り返される言葉にわたしは自分が他の人と違うことをしてしまったのか!?と羞恥心で頭が沸騰しそうになる。

「…もー!なんで言うの!?言わなくていいの!バカ!光来くんの、バカ!」

ぽかぽかと背中を叩くと、なんだか眠気もすっかり吹き飛んでニヤニヤしてる光来くんは放ったらかしにして人様の家だが勝手にシャワーを浴びに向かうことにした。ベッドから降りると、そのまま立ち上がれずに座り込んでしまいそこでやっと自分の腰が抜けていることに気づく。

「...光来くん!!!!お風呂場まで連れてって!!」

もうこうなったら半ばヤケクソで光来くんに当たると、光来くんはそれはそれは嬉しそうに「任せろ」とさほど身長差のないわたしを軽々と持ち上げお風呂場へと向かった。悔しい。

そしてこの日、無事に2人とも初めてを卒業した。後日2回目をしようとなったが、なぜか1回目より恥ずかしいわ緊張するわ、光来くんはまたテンパるわでこれから先何回シたらスムーズにいくんだろうなんて、今だけの悩みを今は精一杯光来くんと一緒に楽しみたいなぁと思った。もちろん、光来くんには恥ずかしいからそんなこと絶対言わないけど。





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