君の夢が | ナノ


番外編



ゆっくりとベッドへ降ろされ、上半身裸のまま光来くんがわたしの上に跨がる。汗なのか、シャワーの残りなのかこめかみからツーっと水滴が垂れてわたしの胸元へ落ちる。それとほぼ同時に光来くんがわたしへとまたキスをしてくれて気持ちよくて脳が蕩けてしまいそうだった。キスを受け入れながら光来くんの首にまた腕を回してぎゅっと抱き寄せる。静かな部屋での行為は、光来くんのちょっとした息づかいも逃さず耳に入ってきて初めて味わう興奮に自分の熱を持て余す。

控えめに光来くんがわたしのお腹を撫で、くすぐったさで声を漏らすと不安そうな光来くんの目と視線が絡む。

「さ、触っていいか」
「...うん。光来くんに、触って欲しい」

雑誌に書いてあった通り、いつもより素直にそう告げると光来くんの目が驚いたように開かれる。光来くんが思っているよりわたしは今日を楽しみにしていたし、こういうことにも興味があった。

光来くんの手が服の上からそっとわたしの胸元に置かれる。あんなに力強い光来くんからは想像できないくらい優しく触られて、きゅんと胸が高鳴る。「や、わらけ...」とご丁寧に感想を呟かれ、なんだか恥ずかしいけど、嬉しそうな光来くんが可愛くてじっと見つめてしまった。

「脱がすぞ」

そう言いながら震える指でわたしのボタンを一つずつ外し、光来くんの冷たい指が肌に触れる。

「光来くん」
「...」

呼びかけるが、光来くんからの返事がない。もう一度名前を呼ぶが上の空と言った様子で光来くんの頬を両手で挟み目を無理やり合わせる。

「な、なんだ!?」
「光来くん、一人で...進めないで」
「...わ、悪い」
「わたしちゃんと、心の準備できてるから。大丈夫だからそんな顔しないで?」
「俺そんなやばかった?」
「うん、顔怖かった」

わたしも緊張で強ばる顔を必死に口角を上げて光来くんに笑顔を見せると、光来くんは「はぁ〜〜〜俺ダッサ」とため息をつきながらわたしの体に全体重を乗せるように崩れ落ちてきた。

「なまえも初めてだろ」
「う、うん」
「女の人は初めては痛いってよく聞くから、俺が上手くやんねぇとってテンパってたわ」
「わたしは、光来くんとしたいだけだから。上手いとか下手とか、どうでもいい」
「っ、なまえ、」
「光来くんにだから、わたしのはじめてもらってほしいの。わかった?」

わたしの肩に顔を埋めながら光来くんが急に唸り出す。驚きながら、光来くんの頭をよしよしと撫でてみると勢いよく光来くんの上半身が起き上がる。

「俺、なまえのことすげー好きだ」
「ふふ。なに急に」
「どうしようもないくらい、好きだ。触るだけで、幸せになる。壊さないか、不安になる。...好きだ」
「も〜!!わたしも、大好きだよ。いつも大事にしてくれてありがとう」
「これからも、ずっと大事にする」

そう言って、幸せそうに目を細めた光来くんはわたしの頬を撫でてからキスをしてきた。遠慮がちに舌が入ってきて、不恰好なディープキスを続ける。お互いはじめてで、慣れてなくて、何が正解かわからないけどこうしているだけで心が気持ちよくて幸せでたまらなかった。

「ん、っ...」

さっきとは全く別人のように光来くんはわたしと目を合わせながらゆっくりと触れてきた。光来くんの指が触れるたびに正直くすぐったいし、気持ちいいのかはまだわからないけど、確実に言えるのは「幸せ」だということだった。





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