君の夢が | ナノ


番外編



光来くんとの約束の日まで入念に準備をすることにした。いろんな雑誌やネットで情報を仕入れる毎日。雑誌によるとアンダーヘアの手入れをしてる女性の割合が思っていたより多く、はじめて触ってみたけど何が正解かわからず結局全部無くしてしまった。なんだか慣れない感覚に本当にこれを世の中の大人の女性はしているのか?と不思議になるが、今のわたしには雑誌で知識を得るしかなく信じることにした。

そして、当日。

待ち合わせは近所のコンビニで。練習終わりの光来くんは急いで待ち合わせ場所に来てくれたのか、時間を潰していたわたしの前に予定よりかなり早く現れた。

「なまえ」
「わ!光来くん!早かったね?」
「あ、おう」
「そんなわたしに早く会いたかった?」

ふふ、と笑いながらそう言うといつもの光来くんなら顔を真っ赤にさせて照れたりするが今日の光来くんは「おう、そうだ」とわたしの目を見て答えてきた。なんだかいつもより緊張して見える光来くんに、わたしまで緊張が移ってしまって2人でコンビニを出た後無言で手を繋いで光来くんの家へと向かった。さりげなくわたしのお泊まりセットを持ってくれる光来くんが大好きで、ぎゅっと手を強く握る。部屋へ通されると、光来くんは練習終わって急いで向かってきてくれたそうで「もう一回シャワー浴びてきていいか?」と恥ずかしそうに聞いてくる。

「もちろん!ゆっくり入ってきて」

そう答えたが、光来くんの部屋で1人きりでシャワーの音を聞いてることの恥ずかしさったら、もう、それだけでどうにかなってしまいそうだった。汗をかく季節でもないのに、服の下がじんわりと汗ばむのがわかる。あ、わたしかなり緊張してるんだなと自分でもわかる。

ガチャ、と光来くんがお風呂場から出てきたのが音でわかり自分の心臓がバクバクと暴れ出す。

「テレビくらいつけてても、よかったのに」

後ろから急に光来くんの声が聞こえ反射的に振り返る。そこには上半身は何も着ずにタオルで頭を拭いている光来くんがいた。...かっこよすぎでは?といっきに自分の顔が真っ赤に染まるのがわかる。

「や、やだ...」
「あ?」
「かっこよすぎて、見れない」
「っ、バカ!あんま、そういうこと言うんじゃねぇ」
「だって!その、本当にかっこよくて...」

顔を両手で覆いながら立っている光来くんを見上げていると、鼻にボディソープのいい匂いがしたと思えば光来くんに抱きしめられていた。

「なまえ」
「あ、待って...!んっ、」

至近距離で見つめられ、名前を呼ばれ、キスをされてときめかない女がいるだろうか?光来くん座っているわたしを包み込むようにして抱きしめ、そのまま動かなかった。

よかった、光来くんもドキドキしてくれてる。

なんて、光来くんの心臓の音を盗み聞きしてわたしはほっと胸を撫で下ろした。ほっとしたのも一瞬の出来事で、光来くんから贈られるキスがいつもより深いものでついていくのに必死だった。

「...ん、っ...」

自分の口から聞いたことのない甘い声が漏れて、その声で酔ってしまいそうになる。手の置き場に困り、そっと光来くんの胸元に手を置くと光来くんの体もぴくり、と反応する。

「ま、待って...」
「...嫌だ」
「わたしも、シャワー」
「いい」
「よ、くな...、っ...!」

光来くんの顔は真剣そのもので、一応家でシャワーは浴びてきたけどさっきから緊張で汗かいてるし匂わないかな、と心配で不安になる。光来くんのキスは唇から耳、首筋へと少しずつ移動してきてそのたびに自分の体がきゅんと刺激されるのがわかる。

「こ、らいくん」
「離れたくない」
「...え、?」
「今日は、なまえのこと1秒だって離したくねぇ」

そう言って光来くんはほとんど身長の変わらないわたしを軽々と抱き上げてベッドへと向かった。生きてきて、彼氏にお姫様抱っこをされる日が来るだなんて思っていなかったし嬉しさと恥ずかしさで光来くんの首に回した手に力を込めて肩に顔を近づける。光来くんにドキドキさせられっぱなしで悔しくて首筋にキスをすると動揺したのか光来くんから変な声が聞こえて満足した。かわい。






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