「飛雄くんのその待ち受け彼女なん?」
「まだ違うっす」
「へぇ、飛雄くんも女の子に興味あるんやねぇ」
影山のスマホを見ながら宮はニヤニヤとスマホと影山を見比べる。影山は宮からスマホを返してもらおうとするが、返してもらえない。あまりなまえのことをじろじろと見られるのは気分の良いものではないと気付いた。
「宮さん、返してください」
「おー、てかこの子ファンの子?飛雄くん隅に置けへんなぁ」
「?なまえさんはいつも真ん中で見てますけど」
「そういうことちゃうねん、なまえチャンって言うんや、えらい可愛い子やなぁ」
「見ないでください」
ついかっとなりスマホを奪う様に宮の手から奪還する。バレー以外でムキになる影山の様子が面白かったのか目の前の宮は先ほどよりさらにニヤニヤとした表情で影山のことを見ていた。
「今日俺もなまえチャンのこと見つけようっと」
「ダメです」
「彼女ちゃうんやろ?」
「俺のファンです、だからダメです。宮さんは見ないでください」
「飛雄くん意外と嫉妬深いんや〜、おもろいなぁ」
「おもろくないっす」
「なまえチャン見に来てるんやったら、今日は俺らが勝ってええとこ見せなアカンなぁ」
「俺たちが勝ちますよ」
「ほんで、俺のファンになってもらわな」
「それは絶対ないっす。なまえさんは世界で1番俺のこと好きなんで」
影山があまりにも自信満々にそう答えた為、宮は思わず手を叩いて笑ってしまう。「嘘や嘘、からかってごめんな。なまえちゃんとお幸せに」と影山の肩をポンと叩きMSBYの控え室へと入って行く。
残された影山はスマホの待ち受けをもう一度見て、湧き上がる気持ちを大切に胸の中にしまった。