追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


23歳誕生日





「パパ!」

玄関前で今か今か、とずっと待っていた飛空がドアの鍵が開く音に全力で反応して飛雄くんに飛びつく。

「おかえり!パパ!」

満面の笑みで出迎えられて、飛雄くんの顔も思わずゆるゆるに緩んでいた。

「パパあのね!」
「おう、ただいま」

飛雄くんが飛空を抱き上げて頬にキスをすると、飛空は嬉しそうにきゃっきゃと声を上げて喜んでいた。

「おたんじょうびおでめとう!」
「おめでとう、な」
「おでめとう!」
「はは、ありがとう」

ぎゅっと抱きしめていると飛空が「くるち〜!」と飛雄くんの腕の中でバタバタ暴れていてその光景が愛おしくて見ているだけで幸せだった。エプロンを外す時間さえ惜しくてわたしも2人のいちゃいちゃに混ざりにいく。

「飛雄くんおかえりなさい!」
「ただいま」
「とあくんも!ママと!ちゅーする!」
「ダメだ」
「ママぁ!パパいじわる!」

わたしの方へ助けを求める飛空が可哀想で、受け取ろうとするが飛雄くんがそのままリビングへと向かってしまい飛空とは離れ離れになってしまう。

「今日はパパの誕生日だろ」
「...うんっ!」
「だからママはパパに返す。わかったか?」

飛空はきょとん、としたまま飛雄くんのことを見つめていて絶対に意味はわかっていない満面の笑みで「わかった!」と機嫌良く飛雄くんに遊んでもらっていた。

◇◇◇

「「ハッピーバースデー!パパ〜!」」

食後にケーキでお祝いをすると、少し照れながら飛雄くんが蝋燭の火を消す。

「とあくんもふぅ〜ちたい!」
「飛空くんのお誕生日にしようね」
「ほら飛空、いちご食うか」
「たべる!とあくんね、いちごすき!いちごと、ママと、パパすき!」
「ママもね、飛空もパパも、苺も大好きだよ〜!」
「俺も」

今日は飛雄くんのわがままをうんと、たくさん聞いてあげよう。そしていつもよりたくさん甘やかして、甘えてもらって。生まれてきてくれてありがとう、出会えて幸せだよってこれでもかってくらい伝えるんだ。そんなわたしの意気込みを知ってか知らずか、飛雄くんは飛空と嬉しそうにケーキを食べていてやっぱりわたしが幸せをもらってしまうのだった。




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