追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


21歳誕生日





ささやかな飛雄くんの誕生日会も終わり、片付けもそこそこにソファでくつろいでいた。飛雄くんがわたしのお腹に手を乗せるとまるで答えるように胎動を感じる。

「...あ!」
「蹴ったな」
「ふふ、蹴ったね」

思わず2人で顔を見合わせると飛雄くんがくしゃり、と嬉しそうに笑いわたしをそっと抱きしめる。まるで壊れ物のように扱わられ少し恥ずかしい気持ちもあるが、笑顔で受け入れることにした。

「飛雄くん、お誕生日おめでとう」
「おう」
「またお祝い出来て、嬉しい」

そう言って、こてんと飛雄くんの肩に頭を乗せるとわたしのつむじに飛雄くんがキスを落としてくれる。ああ、幸せだなぁと心から感じているとお腹の我が子もわたしの幸福を受け取ったのかまたお腹を蹴ってアピールをしてくる。

「今日はいつにも増して元気だなぁ...パパの誕生日ってわかってるのかな?」
「...なまえさんのことあんま蹴んなよ」
「もー、そんな意地悪言わないの」

冗談だとわかってはいるものの、真顔でそう言ってくる飛雄くんが面白くて、可愛くて、愛おしくて。

「今年はあんまりちゃんとお祝い出来なくてごめんね?」
「俺はなまえさんが隣にいれば何でもいい」
「...も、もう...!」
「なんでそんな照れてんだ」
「結婚してるのに口説いてこないで...!」

思わず頬に熱が集まりそれを隠そうと両手で顔を覆うが、すぐさま飛雄くんの大きな手に阻まれ唇を奪われる。

「可愛い」
「もー!やだ...!」
「もっとキスしていいですか」
「だめ」

なんだか飛雄くんの掌で転がされているようで、面白くなくて思わず拒否すると目に見えて飛雄くんがしゅんと落ち込むのがわかる。

「...嘘。いっぱいして?」
「っ、...」
「しないの?」
「やべぇ」
「ん?」
「勃った」

わたしに何度かキスをしながら我慢しようとしてくれている飛雄くんが愛おしくて、今日は飛雄くんの誕生日だし甘やかしちゃおうかなとこの後のことを提案する。提案を聞いた飛雄くんはまるで誕生日プレゼントをもらったかのように喜んでいて。

「いい、んですか...!」
「だから敬語やめてよ...!」
「優しくします」
「よろしくお願いします」

2人きりの誕生日は今年で最後。ゆっくりと、過ぎていく時間を幸せに感じながら夜を明かした。




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