追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


ドラマ





最近、子供たちを寝かしつけたまま飛雄くんも一緒に寝落ちしていることが増えて。わたしは独身時代ぶりに夜をゆっくりリビングで過ごすことが増えていた。そう、それが原因で今わたしは頭の中で甘いセリフが四六時中脳内で再生されている。

「はあ…」

今日はお気に入りのドラマも物語の佳境で、お酒を飲みながらヒロインの女の子に感情移入をしながらハンカチを濡らしていた。

「格好いいな〜...!こんなの言われたら心臓もたない...!」

残り少ないお酒をぐい、っと飲み干し新しいのを開けようかなと冷蔵庫へ向かうとまだ寝ぼけていそうな飛雄くんが後ろから抱きついてくる。

「...また寝てた」
「うん、知ってる。子供たち体温高いから一緒にベッドいてたら気持ちいいよね」
「なまえさん、後で行くねって言ってたのに」

飛雄くんの拗ねた顔が見なくても目に浮かぶようで、巻かれた腕をそっと上から撫でる。

「ごめんね?」
「可愛く言っても許さねぇぞ」
「そんなつもりないんだけど...!」
「まだ飲むんすか」

拗ねている飛雄くんをスルーして冷蔵庫からお酒を取り出すと飛雄くんにすかさず没収される。

「...まだ寝ないよ?」
「またドラマすか」
「?!知ってたの?!」

まさか飛雄くんにバレているとは思わずわたしは驚いて飛雄くんの方へ振り返る。飛雄くんの顔は予想通りの拗ねた顔で、キスというよりは唇をぶつけられる。

「飛雄くんも一緒に見よ」
「俺、あんまそういうの興味ねぇ」
「んー、じゃあ見なくて良いからソファでいちゃいちゃしよ?」

続きが気になりすぎて、これ以上飛雄くんに台所で足止めを喰らいたくなくて思わず言ってしまったが果たして無事に見れるだろうか。

もちろん無事に見れず、と言いそうになるが飛雄くんはわたしを抱きしめたまま大人しくテレビを見ているようだった。最初こそ飛雄くんが気にはなっていたがだんだんとドラマの世界に引き込まれ感動で頬を濡らしてしまった。

「なまえさん」

飛雄くんに呼ばれ振り返ると今度は優しいキスが目元に降ってくる。涙を唇で拭いながら飛雄くんは優しく目を細めて微笑み「愛してる」と愛の言葉を囁き始めた。いきなりの事で、ドラマのセリフを真似していると気付いたのは飛雄くんが満足そうに全て言い切ってからだった。

「待って?!格好よすぎて、無理だ」
「俺の方が格好よかったですか」
「え?うん。当たり前に飛雄くんの方が格好よかった」

わたしが食い気味にそう答えると、飛雄くんの顔が真っ赤に染まる。自分から聞いてきたくせにその反応はずるいです。可愛いです、好きです。そんな気持ちを込めて飛雄くんの頬に手を添えてわたしも先ほどのドラマのセリフを囁いてみる。

「ふふ、どう?」
「可愛い、すげぇ。なんつーか、好きです」
「わたしも飛雄くんだーいすき!」
「なまえさん酔ってんだろ」
「酔ってないよー!ひどい!」

人のことを酔っ払い呼びするとは、なんて酷い旦那さんなんだ。頬を膨らませながら飛雄くんに酔っていないことを抗議する。飛雄くんの頬を食べながら「酔ってないもん」と言い張るが飛雄くんは相手にしてくれず、わたしの手からお酒を取り上げてくる。

「もう飲み過ぎ」
「やだぁ!まだ飲む」
「…可愛い」
「可愛いでしょ?ほら、お酒返して?」
「可愛いけどダメです」
「も〜!飛雄くんのいじわる」
「こら、噛むなって」

いつもは飛雄くんに噛まれることが多く、わたしだってたまには噛ませてもらおうと飛雄くんの肩を甘噛みするとソファに押し倒される。

「ほら寝るぞ」

てっきりそのまま飛雄くんのスイッチが入ると思っていたわたしは、おでこにキスだけされて1人で仰向けのまま拍子抜けする。飛雄くんはすでに立ち上がっていてわたしを見下ろしていた。手を伸ばして起こしてと目で訴えると優しくわたしの体を起こしてくれる。優しい。好き。その腕をぐっと引っ張り飛雄くんに抱きつく。

「なんすか」
「なんでそんなに冷たいの?ちゅーしよ?」
「なまえさん酔ってる時のことあんま覚えてねぇから嫌」
「そんなことないもん。ちゃんと覚えてるもん」
「この間だって、俺のこと散々好きだって襲ってきたくせに朝になってたら忘れてただろ」
「…恥ずかしいから忘れたフリしてるだけだもん。だからちゅーしよ?ね?」
「っ、この、っ」

飛雄くんの頬を両手でがっちりホールドして、ぶちゅっと音がなりそうなくらい勢いよく唇をぶつける。飛雄くんはまだ何かと葛藤しているようで、いつもなら開けてくれる唇を固く閉ざしたままだった。わたしは面白くなくて飛雄くんの下唇を甘噛みする。ちゅ、ちゅとわざと音を立てて飛雄くんを誘ってみることにした。

「、なまえ、さんっ」
「んー…ちゅーきもちーね」
「っ、」

ドン、と飛雄くんの肩を押してソファへと押し倒し何度もキスを繰り返していると飛雄くんもその気になってきたのかわたしの体に手を伸ばす。

そして、と続けたいところだがここでわたしの記憶はぷっつりと途切れていて目を覚ます。子供達がいるところでは普通だったが、それ以外では全く目も合わせず口も聞いてくれない。これはやらかしてしまったな、と反省をするがどうやって飛雄くんの機嫌を治してもらおうかと試行錯誤する。

それすらも少し楽しいと思ってしまうわたしはきっとまた同じ過ちを繰り返してしまうだろう。ごめんね、飛雄くん。でも頑張って拗ねてる飛雄くんがあまりにも可愛いので飛雄くんも悪いと思います。




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