追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


木兎さんとはじめまして





試合が終わり、控え室へと子供達を連れて入るとアドラーズの控え室に入ったはずが木兎さんの姿が1番最初に目に入ってくる。

「おーーー!なんか!ちっこい子!増えてる!」
「ぼくとさんだ!」
「お!チビ山〜!元気だったか?」

チビ山、と呼ばれた飛空はぷくっと頬を膨らませながら「ちびやまじゃなくて、とあくんだもん」と怒りながら木兎さんに抱っこをしてもらっていた。

「あっちのチビは?」
「ひぃちゃん!とあくんのいもーと!」
「妹か!」

豪快な木兎さんに飛空は肩車をされたまま、木兎さんが飛茉を抱いているわたしに近寄ってくる。飛茉は人見知りからの防衛本能か、わたしの腕をぎゅっと握って固まっていた。

「ひぃちゃん、はじめまして!俺は木兎!」
「……」
「この子人見知りが酷くて…ありがとうございます」
「そーなの?」
「パパ以外の男の人だと、日向くんくらいしかダメみたいで」
「へぇ〜!いつか仲良くなろうな!」

そう言っていつも試合中に見せる、誰もが心温まる笑顔をわたしと飛茉に見せてくれて場が一気に和んだ。その後は日向くんが走って飛茉に会いに来てくれて、飛茉も笑顔で日向くんに抱っこをしてもらってご機嫌の様子だった。

「ぼ、く、と」
「ろ、く、ろ?」
「ちがーう!ぼ!く!と!」
「お!く!と!」
「惜しい!」

時間が経てば飛茉の人見知りもかなりマシになり、日向くんの膝の上で木兎さんの名前を何度も呼ぶ練習をしているようだった。飛空は木兎さんの背中をまるでアスレチックかのように何度も登ったり降りたりひっくり返ったり、とても楽しそうでわたしも思わずニコニコしながら4人の様子を見てしまう。

「なまえちゃん、めっちゃご機嫌やな?」
「…侑さん!お疲れ様です」
「おーおつかれさん」
「なんだか飛空も飛茉も楽しそうで、見てるわたしも楽しくなっちゃいました」
「俺も混ぜてもらおかなー!」

そう言って侑さんが意気揚々と4人の輪の中へ混ざっていく。

「いーれーてー!」
「あ!侑さん!お疲れ様です!」
「つむつむだ!」
「おい、飛茉!ツムツムだぞ!」
「…や」

侑さんと飛茉は以前も顔を合わせたことがあるが、どうやら飛茉は侑さんのことが苦手らしく今日も日向くんの膝の上で目を合わせないようにぎゅっと日向くんに抱き着いていた。

「なんでやねん!俺結構子供にも人気やんなぁ!?」
「そうですね!でも木兎さんの方が人気です!」
「そこ正論いらんねん!」
「ツムツムうっせーからなぁ」
「いや!ぼっくんのほうが絶対うるさいやん!」
「つむつむうるしゃい!」
「なー?飛空もそう思うよな?」

わいわい、がやがや、という言葉が似合う空間にわたしは更に微笑ましい気持ちになる。

「飛茉、ほら侑さんが抱っこしたろ」
「…しょーたんがいい」
「いっぺん抱っこされてみ?な?」
「や!」
「じゃあ俺が抱っこしてやる!こい!飛茉!」
「ん!」

頑なに日向くんの膝の上から動かなかった飛茉が、このタイミングでなぜか急に木兎さんに抱っこを求めた。

「はぁ〜…まじで可愛い。なんつーか、こう…顔が可愛い」
「ぼっくん」
「何!?今俺のこと呼んだ?」
「かみのけ、つんつんちてる」
「触るか?」
「わ!しゅごい」

きゃっきゃ、とはしゃぐ飛茉に悩殺される大人たち。今日初めて見るであろう飛茉の笑顔に、大きいお兄さんたちは完全に頬が緩みまくっていて。我が娘ながら将来何人の男の人を蕩けさせてしまうんだろう、と思わず心配になってしまった。




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