追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


バレンタイン





影山くんがVリーグに進出してから約1年が経とうとしてる。この一年間影山くん尽と言っても過言ではないくらい影山くんのバレーをたくさん見ることができた。
影山くんは最初こそファンに無愛想だと言われてたけど、最近は少しずつ柔らかい空気になってきてファンも少しずつ増えてきた。もっと日本国民の皆様は影山くんの素晴らしさに気づいた方がいいし、バレーをもっとたくさんの人に見てもらいたい。

今日も試合後に影山くんにサインをもらおうと列に向かうといつも以上に女の子のファンが多く、みんなプレゼントだろうか可愛い紙袋を持っている。

(今日ってバレンタインなのか!)

私生活に男性と関わりのないわたしは本当にすっかりバレンタインというイベントを忘れており、何も持っていなかった。今から走って百貨店行って戻ってくる?嫌、無理だな。とりあえず誰かあげちゃう前にサクッと話だけして帰ろう。影山くんもバレンタインとかきっと興味なさそうだし。
この1年間で影山くんがいかにバレーにしか興味がないというのはわかってきたつもりだった。

「影山選手!お疲れ様です!サーブ最近めちゃくちゃ調子いいですよね?見てて気持ちいです」
「アザス!最近調子いいんすよね」

影山くんはさらっと色紙を受け取りサインをしてくれる。最初こそぎこちなさ満載のサインだったが、最近はスムーズに書いているのでわたしとしてはまた一つ影山くんの成長に立ち会えて嬉しい気持ちでいっぱいだった。
当たり障りない会話を終え、握手をして立ち去ろうすると影山くんが手を差し出してきた。

「え?」
「ないんすか?」
「あっ、ごめんなさい、その、すっかり忘れてて」

しゅん、と影山くんが落ち込んだように見える。見えるだけで落ち込んでるかはわかんないけど、眉毛が下がってとても可愛い顔をしてくる。影山くんから催促されるだなんて思っていなかったのでわたしは誠心誠意謝罪をしてその場を去るつもりだった。

「スマホ、持ってますか?」
「あ、はい!」

スマホを影山くんに見せるとカメラを起動させられ、ぐっと影山くんの顔が近づいてくる。予想してなかった展開に慌ててると無常にもシャッターの音が聞こえた。待ってわたし今カメラ目線どころか影山くんのことしか見てない。

「俺から、バレンタインっす。お返し待ってます」

にやり、と笑ってみせた影山くんの顔が格好良すぎてこれは何円払ってもわたしの方が貰いすぎな気がする。
そのあとわたしの顔が照れすぎて、友人から散々揶揄われた挙句その写真も勝手に保存されてしまった。お願いなので恥ずかしいからこれ以上誰にも見られませんように。




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