追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


パパの先生





「飛雄ちゃーん!ヤッホー!及川さんが遊びに来たよー!」

飛雄くんが無言でインターホンを切っていて驚いて振り向くとまたインターホンが鳴っており「出ないの?」と尋ねるとなんとも言えない顔で「...出る」と意を決して出ていた。

玄関でも攻防戦は繰り広げられていたようで「何しに来たんすか!」「遊びに来たんだけど?!」と口論が聞こえ思わず玄関へ向かう。

「中、入ってもらったら?立話もなんだし」
「...なまえさんが、そう言うなら...」
「なまえちゃーん!久しぶり!元気?飛空と飛茉も久しぶり〜!!!」

及川さんは遠征でローマに来るたび我が家に突然遊びに来て、毎度飛雄くんに「連絡くらいして下さいよ」と怒られている。飛空と飛茉の突然の訪問者にそわそわしながら玄関を覗きに来る。

「あー!とーるくんだ!」
「飛空〜!!!!可愛い!本当にお前は飛雄から産まれてきたの?可愛すぎない?」
「俺からは産まれてきてません」
「わかってるわ!」

及川さんはケラケラと綺麗な顔をくしゃくしゃにして笑いながら飛空を抱き上げて飛茉にも手を振る。飛茉は及川さんのことは認識しているものの、飛雄くんの足にしがみついたまま動かず真顔で及川さんを見つめていた。

「飛茉ちゃんこないだ会った時最後ほっぺにちゅーしてくれたじゃん!」
「な、聞いてねぇ!したのか?!」

飛雄くんがしゃがみ、足元の飛茉を抱き上げながらそう聞いてみるが飛茉は飛雄くんの胸に顔を埋めて2人の会話を完全にスルーしていた。

「及川さん、午後の予定ないならご飯食べて行きます?」
「毎度毎度ごめんね〜?なまえちゃんの味が恋しくてさぁ」
「ふふ、じゃあ今日は和食にしようかな」

及川さんは一口食べるたびに「美味しい!」と大袈裟なほどに喜んでくれるので、いつもついついたくさん作りすぎてしまう。ご飯を作ってる間に飛茉とも打ち解けたのか、子供たちがきゃっきゃとはしゃいでる声が聞こえる。

「じゃあ、とーるくんはパパの先生なの?」
「あ?ちげぇ、」
「そう!とーるくんは、飛空のパパより偉くて強くて凄い先生だよ!」
「すごーい!」

その言葉を聞いて飛空がキラキラした目で手をぱちぱちと叩き及川さんに拍手を送っていた。その様子が楽しそうに見えたのか、飛茉も一緒になって手を叩いていて飛雄くんの表情がいっきに拗ねていてわたしは面白くて一人でくすくす笑ってしまっていた。

「ご飯できたよ〜」

と声をかけると4人の嬉しそうな声が重なり、大きい子供2人、小さい子供2人に見えまた面白くて笑ってしまう。

「何笑ってんだ」
「飛雄くん、嬉しそうだなって」
「あ?」
「及川さんのこと、大好きだもんね」

そう言って飛雄くんの方を見ると納得いかないと顔に書かれていて、素直じゃないなぁと可愛く思えてしまう。当の及川さんは飛空と飛茉の手を拭いてくれていてこの人きっと結婚したらいいお父さんになるんだろうな、と微笑ましくなる。一方、本当のお父さんは今わたしの後ろでむすっとしていてそんなところも可愛いし愛おしいと思ってしまうわたしも大概だな、と反省をするが飛雄くんが可愛いのが悪い!と開き直るのだった。




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