飛雄くんと一緒に住んでから、年上としてちゃんとしよう!と意気込んでいたが一人暮らしが長い分だらしなくなってしまうことも多少はあった。
飛雄くんは家に帰ってきたらまずシャワーを浴びるのが習慣になってるらしくて、毎日帰ってきてまずシャワーを浴びてリビングでくつろいでいた。わたしは匂いがつくのが嫌で、メイクは落とすもののご飯を食べ終わって洗い物をしてからお風呂に入るのが習慣になっていた。今日はいつもより少し作りすぎてしまい、洗い物の後満腹のあまりソファでうたた寝をしてしまっていた。
「...さん、なまえさん」
「ん、?」
肩を揺すられてうたた寝から目を覚ますと肩にタオルをかけた飛雄くんが髪を濡らしたまま立っていた。
「あれ?また、お風呂入ってたの?」
「ちょっと走ってきたんで」
「え、もしかしてわたし結構寝てた?」
「おう。なんか返事ねぇなって思ってみたら寝てた」
「起こしてよ!」
「なんかすげぇ気持ちよさそうだったからそのままにした」
そう言ってくれた飛雄くんの顔が優しくて、なんだか恥ずかしい気持ちと愛されてるなぁ、なんて嬉しい気持ちで胸がいっぱいになる。甘えるように飛雄くんに抱きつくと「風呂、入れよ」とわたしの頭を撫でながら諭すように言ってくれる。
「うーーーん」
「ほら、明日朝早いんだろ」
「ん」
「そんな可愛い顔してもダメだからな」
「してないもん...」
「一緒に入るか?」
「なんでよ、飛雄くん入ったとこでしょ」
ふふ、と笑いながらそう答えると飛雄くんの発言は冗談ではなかったようで「髪まだ濡れてるから今ならもう一回入れる」と返事をしてくる。
「いいよ、大丈夫」
「...早く一緒に寝てぇから入ってこいって」
聞こえてきた言葉が可愛すぎて飛雄くんの顔をまじまじと見つめてしまう。「見過ぎだ、ボケ」とわたしの鼻を摘んでくる飛雄くんが可愛くて、可愛くて、それはそれは可愛くて。ついつい飛雄くんが可愛くて甘えてしまう。ぎゅう、っと抱きついていた手を上にあげ「お風呂入るから脱がせて」と甘えてみる。
「な、」
「えっちなやつじゃないです!」
飛雄くんが何かを言いたげにしていたので、思わず被せるように言ってしまう。
「...わかった」
「やったー!」
「ほら、もっかいバンザイしろ」
「ばんざーーい!」
「風呂場まで連れてってやる」
上半身だけ下着姿になったわたしを飛雄くんが抱き抱えて脱衣所まで連れて行ってくれる。甘えたいモードのスイッチが入ってしまったわたしは、結局飛雄くんに洋服を脱がしてもらいお風呂へ入ることに成功した。待ってくれてる飛雄くんのことを思い出しながらいつもよりスピーディーにお風呂を終えると、ドライヤーを持って待ち構える飛雄くんがいて思わず感動する。
「ドライヤーしてくれるの?!」
「...上手くできるかわかんねぇけど」
「嬉しい。飛雄くん大好き」
ありがとう、と気持ちを込めて頬にキスするとそのままさらっと唇にキスをされる。だんだん深くなっていくキスだが、髪の毛が濡れたままのわたしは少し寒くなってくしゃみをしてしまう。
「ほら、そこ座れ」
「はーい!飛雄くん、よろしくお願いします!」
機嫌良くソファに座り、飛雄くんに髪の毛を乾かしてもらう。が、結局ドライヤーの位置が近すぎたり温度が暑すぎたりと自分でするより倍以上時間がかかってしまい2人で「なんか疲れたね」とそのまま眠りについてしまった。
翌朝、飛雄くんが上に乗ってきた重みで目が覚めこんなに心臓に悪い目覚めはないなとときめきで高鳴る胸は朝からフル稼働していて飛雄くんと一緒に住んでから心臓が何個あっても足りない気がしていた。求む、心臓。