「え?なんすか?」
「いやだから、最近高校生で明らかに選手とそういった関係を狙って執拗に待ち伏せとかする子達がいるから気をつけてねって話」
「俺より牛島さんの方が人気っすよ」
「まあそうなんだけど、影山は年近いからとにかく気をつけて!後、スポンサー的にややこしいからファンには絶対手出すなよ」
マネージャーに言われて1人の顔を思い浮かべる。
「ぜ、絶対すか!?」
「は?!お前もう手出したのか?!」
「いや、まだっす」
「まだじゃねぇ、すんな」
影山はそのまま返事をせずに黙りこくる。マネージャーは眉間を抑えながらため息をつき先ほどより低い声で「返事は?」と催促をする。
「っす...あ!ファンじゃなきゃいいんすよね?」
「ん?いやまあ、学生時代からの彼女とかは世間的には聞こえいいか」
そのマネージャーの一言を聞き「学生時代...」となまえのことをもう一度思い出す。彼女ではなかったが、学生時代からの知り合いと紹介してもいいのではないか?
(それならなまえさんと付き合える!)
お先真っ暗だった目の前に光が入り、影山の表情はみるみるうちに明るくなっていった。マネージャーは影山のわかりやすさに思わず、頭を抱える。
影山の脳内はすでになまえさんに一刻も早くファンを辞めてもらわないと、そして彼女になってもらおう!モードになっており、心ここに在らず。
「とりあえずCM決まったとこだし、スキャンダルは色々不味い。彼女いるならいるでちゃんとしてくれたらいいから」
「あー、っす」
この時影山がマネージャーのこの言葉をしっかり聞いていて、理解していればなまえの苦悩は少しはマシになったかもしれない。