追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


父の日





「ぼくのパパは、世界で1番かっこよくて強くて最強のセッターです!どんなにおっきい外国のせんしゅにもパパは負けません!パパがボールを触ったら魔法みたいにビューン!て気付いたらアタッカー選手のところに飛んでいきます。ぼくはパパのことが1番かっこよくて大好きです!パパは家に帰ってきたらまずぼくと妹と、それからママにおかえりのチューをたくさんしてくれます!遠いところに行っててなかなか会えなかった日はいっぱい、いーーーーっぱい!チューして、ぎゅーもしてくれます!ぼくと妹にチューした後はママのことをぎゅーってはなしません。ママとパパはとってもラブラブでぼくと妹はママとパパのことが大好きです!パパとおるすばんの時は、パパはいっぱい遊んでくれます。みんなに言ったらパパに怒られちゃうけど、パパはお歌がちょっと下手っぴです。ぼくの方が上手に歌えるので、ぼくがパパに勝てるのはお歌を歌ってる時だけです!ぼくはパパと一緒にお風呂に入るのが大好きです。パパのおっきい手で頭を洗ってもらうと気持ちよくてすぐに眠くなっちゃいます。もう1年生になったのでぼくも1人でお風呂に入れるように練習をしています。でもパパとお風呂入れなくなるのはちょっと嫌です。ぼくの大好きなパパは、世界中のみんなから大好きって言われてます。でもぼくがママの次に1番パパのことが大好きです!パパがバレーボールしてるところをママと妹と3人でがんばれー!っておうえんするのがとっても楽しいです。パパが負けちゃった時、妹とぼくはたまにちょっとだけ泣いちゃいます。だからこれからもいっぱいがんばってください!パパはぼくにママと妹を守れる強い男になりなさいって言うから、ぼくもいっぱいがんばります!パパ、ぼくのパパになってくれてありがとう!ずっとずっと元気でいてね、大好きだよ。一年三組、影山飛空」

パチパチと拍手が教室内に響く中、わたしはもう最初から涙が止まらなくてハンカチで顔を覆ってしまっていた。隣の飛雄くんも目が真っ赤になっていて、必死に涙を抑えているようだった。作文を読み終えた飛空はちら、っとわたし達の方を向いて笑顔で手を振ってくるので手を振り返す。その後もたくさんの生徒達が作文を読んでいくが、正直言って何も頭に入ってこなかった。

「飛空くんね、いっぱい練習したよ!上手だった?」
「うん、とっても上手でママ感動して泣いちゃったよ〜!」
「へへ。飛空くんね、パパのこと大好きなんだぁ」

家に帰って、飛空が今日の作文をランドセルから取り出して飛雄くんに手渡すと飛雄くんも外では泣かなかったがとうとう泣いてしまいわたしもまたつられて泣いてしまう。

「パパどーちたの?いたい?」
「痛くねぇ、飛空こっち来い」

飛空も飛雄くんが泣いているのにつられて泣いていて、飛茉以外全員泣いているという珍しい光景だった。

「俺も飛空が産まれてきて、飛空と飛茉の父親になれて幸せだ。ありがとう」

そう言って飛雄くんは飛空を思い切り抱きしめて、飛空は嬉しかったのかわんわん大きな声で泣き出した。飛空がこんなに泣くのは久しぶりに見たかもしれない、大きくなったと思ってもまだまだ子供なんだなと改めて愛おしくなる。わたしも飛茉と一緒に後ろから飛空のことをぎゅっと抱きしめる。

「ママもね飛空くんと、飛茉ちゃんのママになれて世界一幸せなお母さんだよ。いつもありがとう」
「ひぃもにぃにとパパとママすき!」
「と、っあくんもっ、!」

ひっく、としゃくりあげながら泣いてる飛空が泣きながら笑顔で返事をしていてまた涙が溢れる。今日はこのままみんなでお風呂に入って、みんなで川の字になって手を繋いで寝る。

「なまえさん、ありがとう」
「どうしたの?」
「俺を、父親にしてくれて。家族になってくれて」

暗闇の中でそう呟いた飛雄くんの声が、今まで聞いた声の中でもとびきり優しくてわたしはまた涙が溢れそうになる。

「わたしこそ、ありがとう」

声が震えてうまく返事が出来ない。上を向いたまま涙を流していると飛雄くんが目元にキスをして寝かしつけるように頭を撫でてくれる。父の日なのに、わたしがこんなに幸せな気持ちにしてもらっていいんだろうか?ああ、幸せだなぁそう思いながら眠りについた。




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