追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


同窓会





「じゃあこれ、レンジで温めて食べてね?1分半くらい!飛雄くんは包丁触らないで。子供たちのがこっちの入れ物で、飛雄くんのはこれね?わかった?」
「...行くのか?」
「行くよ!だって飛雄くん良いって言ったじゃん!」
「今日のなまえさん可愛すぎて、出したくない」
「ハイハイ」
「なぁ、いつもより化粧濃くねぇか?」
「え?!ほんと?」

飛雄くんにそう言われ洗面台に戻ってもう一度鏡をチェックするが、別段いつもと違うところは見つからない。飛雄くんが飛空を抱っこしたまま洗面台に入ってきてわたしの肩を掴む。そのまま強引にキスされたかと思えば唇を必要に舐められる。

「ちょっ、」
「悪ぃ」
「せっかくグロス塗ったのに...!」
「パパのお口キラキラしてる!」
「俺以外に見せるためにそんな可愛くすんな」
「聞いた?飛空!ママ可愛いって」
「ママはいっつも可愛い〜」

にこにことそう言ってくれる飛空が可愛くて思わず頬にキスしてしまう。飛茉も洗面台で賑やかにしてることに気づいたのかひょこっと顔を出して「ひぃも」と飛雄くんに抱っこをねだっていた。2人まとめてひょいっと抱き上げる飛雄くんを見て胸がときめいてしまい、相変わらずわたしも飛雄くんバカだなぁと思っているが時計を見て驚く。

「あ!もう時間ない」
「ママどこいくの?」
「ママだけおでかけいいなぁ」
「飛空と飛茉はパパと留守番な」

その瞬間「やだ〜」と2人が同じ顔をして言うからわたしと飛雄くんは顔を見合わせて吹き出してしまった。「じゃあ行ってくるね」と飛雄くん、飛空、飛茉の順番に頬にキスをしてから家を出る。産後こうして1人で出掛けるのが久しぶりすぎて、ふとした瞬間に子供たちと手を繋いでないことが不思議な感覚だった。

同窓会の会場に行く前に、少し1人の時間を楽しもうと買い物に出かける。百貨店で化粧品を買おうと思っても、気付けば子供服のコーナーにいて、気付けば飛雄くんのバスタオルを買ってしまっていた。わたしは今から同窓会に行くのに何でこんな大きな紙袋を持ってるんだ、と自分で自分に呆れながらクロークに預ける。

会場内で旧友に会うと、話す人全員と言っていいほどに飛雄くんのことを突っ込まれる。飛雄くんのSNSをチェックしてくれてる人は多いみたいで、子供たちの名前までみんな知ってくれていて喜ばしい気持ちでいっぱいだった。

1時間ほど経ってから、家での様子が気になってスマホをすぐ見てしまう。何かあったら連絡くるよね。もうそろそろご飯食べたかな。今日はお昼飛茉あんまり食べてなかったから、夜はいっぱい食べるだろうなぁ。飛空は最近おかずばっかり食べるからご飯もちゃんと食べさせないと...。

「なまえ?」
「あ、ごめん!考え事してた」
「旦那のことでしょ〜?いいなぁ、ラブラブなんでしょ」
「ふふ。ばれた?」

笑って誤魔化すが、頭の中はもう家族のことでいっぱいで。二次会も誘われたが、今はもう家に帰ることしか頭になかった。家を出る前は久しぶりに一人でのびのびできるなぁ、なんて思っていたけどこんな短時間ですら子供達、飛雄くんと離れるのが寂しいと思ってしまうなんて。ちょっと、恥ずかしい。

行きよりだいぶ多くなってしまった荷物をいっぱい抱えてインターホンを鳴らすと子供たちの足音や「ママ!」と呼ばれる声が聞こえ玄関先で笑顔になる。玄関が空いた瞬間に子供達が抱きついてきてくれてわたしもぎゅっと抱き返す。

「...早かったな」
「うん。早く帰りたくなっちゃった」
「荷物、持つ」
「あ、そっち飛雄くんでこれが飛空。こっちが飛茉ね」
「やったー!」
「これひぃの?」
「なんで同窓会行って俺らにこんな買ってるんすか」

飛雄くんに呆れたように笑われてしまい、笑って誤魔化すしかなかった。

子供たちを寝かしつけて二人でソファに座っていると飛雄くんが急に「...元彼とか、いたんだろ」と拗ねたように言ってくるのであまりにも可愛くて頭をぎゅっと抱きしめる。そのまま飛雄くんを無理矢理膝の上に寝かせるようにして、鼻をつまむ。

「痛ぇ」
「飛雄くんが信用してくれてないから怒ったの」
「怒ってる顔じゃねぇぞ」
「ふふ」
「なまえさん、今日もすげぇ綺麗だから心配した」
「わたしがずっと綺麗でいられるのは飛雄くんのおかげです」
「?」
「飛雄くんがずっと格好良くて、毎日恋してるから綺麗でいられるんだよ〜なんてね」

冗談めいてそう伝えると、膝の上の飛雄くんは顔を真っ赤にしていて固まっている。思っていた反応と違ったのでわたしも釣られて真っ赤になる。

「な、何でそんな照れるの!」
「いや、嬉しくて...?俺、毎日なまえさん惚れられてんだなって」
「旦那さんが毎日好きすぎて、困ります」

飛雄くんの方は恥ずかしくて見れず、顔を逸らしながらそう言うと飛雄くんが起き上がりわたしを抱き上げて膝の上に座らされる。逃げれないように両手で顔を抑えられ「もう一回」とねだられる。

「やだよ、恥ずかしいもん」
「目見て言え」
「...好き」
「俺も、好き」
「ふふ。わたし達結婚してもう何年経ってると思ってるの?」
「年数とか関係ねぇだろ。俺だって毎日なまえさんに惚れてんだから」

心臓を撃ち抜かれる音がするなら、今したと思います。明日も明後日も、ずっとその先も毎日恋するんだろうなって。ああ、やっぱり飛雄くんには何年経っても敵う気がしません。




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