追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


翔ちゃんのお友達





「飛空!飛茉!」
「翔ちゃんこんにちは!」
「しょーちゃん!だっこ!」

試合後に控室で飛雄くんを待っていると、日向くんがひょこっと顔を出して2人の相手をしにきてくれた。飛茉は突然現れた日向くんにご機嫌で抱っこをねだり、日向くんは飛茉を抱っこしたまま飛空と遊んでくれていてとても微笑ましい光景だった。

「日向くん、いつもありがとう。助かります」
「全然!飛空と飛茉に会えるのも遠征楽しみにしてる理由なんで!」
「ひぃもしょーちゃんうれし」

うふふ、と口元を押さえながら喜ぶ飛茉が可愛かったのか日向くんは悶絶しながら飛茉をぎゅっと抱きしめていた。扉の後ろから、1人男の人の姿が見えて「...こんにちは」と控室に入ってくる。どこかで見たことある人だな...と思っていると、飛空が大きい声で彼の名前を叫ぶ。

「こずけん!」
「こじゅ!」
「研磨!子供に知られてんの?すごくね?」
「...まあ、最近の子は見るんじゃない?」
「翔ちゃんのお友達なの?」
「そう!研磨は2人のパパと同じセッターだぞ!」
「いや、もう違うから」

突然のスペシャルゲストに子供達のテンションはとても上がっていて人見知りのはずの飛茉も研磨さんに興味津々のようだった。

「パパといっちょ?」
「そう!すごいだろ~!」
「こずけん!パパと一緒なんだって!」
「はじめまして、影山の妻です。コズケン、さん?とお呼びしても、?」
「それはちょっと恥ずかしいから辞めて」

孤爪研磨、と呟かれた名前でああ、だからコズケンなのかあと呑気に考えてしまう。日向くんのスポンサーということは知っていたが、まさかこんなにも仲が良いとは思わず2人が高校時代からの知り合いと聞いて驚いた。春高でも対戦したことあるんですよと笑って言う日向くんにわたしは記憶を辿っていく。

「高校はちなみに...?」
「音駒高校。東京の」
「あっ...!わかります!赤いユニフォームの!わたし多分お二人の試合も見てます!」
「え、奥さん何者...?」
「影山のファン1号!」
「そういえば翔陽、昔影山より先にファン出来たって言ってなかった?」
「それが実はなまえさんで、俺のファンって勘違いしてたけど実は影山のファンだった...」
「いや!2人の!日向くんと飛雄くん!2人のファンだったよ?!」

日向くんがあまりにもしょんぼりしながら言うので思わずフォローをすると、待ち人が機嫌悪そうに部屋に入ってくる。

「あ?なまえさんは今も昔の俺だけのファンだろ」
「パパだ!!!」

飛空を抱き上げながら飛雄くんは日向くんにドヤ顔を向け、子供達の荷物を集めていく。もう帰るの?と言いたげな子供達の視線が痛い。

「孤爪さん、お久しぶりです」
「影山も。随分活躍してるみたいだね」
「ありがとうございます」
「ねー!パパ!」
「ん?」
「こずけん、パパといっしょだって!」
「ああ、孤爪さんは凄いセッターだったぞ。コイツマークされまくって使い物にならなくて大変だった」
「う、うるせぇ!」
「すご~~~い!」

パパ大好きな飛空はパパが褒める孤爪さんのことを尊敬の眼差しで見つめていた。飛雄くんと同じ顔の飛空にキラキラした目で見つめられるのが恥ずかしいのか、孤爪さんはチラッと視線を飛空に向けたかと思うと困ったように日向くんに視線を戻した。

「これ、ほんとに影山の血入ってる?」
「は、入ってますよ!」

孤爪さんの爆弾発言にわたしが反射的に反応すると「顔はそっくりだもんね」と不思議そうに飛空を見ていた。飛雄くんのことを良く知る人物にはやはり、飛雄くんそっくりの見た目で飛空の性格なのが受け入れづらいらしい。

「あ、そういえば影山から頼まれてたんすけど」
「ん?」
「来月、俺と研磨で研磨んちで2人預かるんで!」
「え?」
「え?影山もしかしてなまえさんに言ってない?」
「あー、忘れてた」
「オイ!」
「え、どういう、?」
「影山がなまえさんと記念日にデートしたいってうるせぇから2人預かるんで行ってきてください!」

いまいち状況が読み込めず飛雄くんの方を見ると、忘れてたことが気まずいのか目が合わない。

「孤爪さんのお宅で預かってもらうの?」
「お、おう」
「孤爪さんはちゃんと了承してるの?」
「してもらった。ちゃんと頼んだ」
「本当に、いいんですか?」
「この子達頭良さそうだしいいよ。うるさくないし。そもそも翔陽がほとんど面倒見るって意気込んでるし」
「日向くんも、本当にいいの...?」
「いや!むしろ俺から言い出したみたいなとこあるし気にしないでください!飛空と飛茉なら弟と妹みたいなもんだし!」
「あ、ありがとう...!」

周りの優しさに感動しながら、気づけば飛茉は日向くんの腕の中で寝ておりこの調子なら預けても大丈夫かなと安心したのだった。




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