追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


ファンサービス2





今日はみょうじにサービスエースを取ると宣言して、そのまま成功した。
きっと喜んでくれるだろう、そう影山は試合後に喜ぶとみょうじと話すのを楽しみにしていた。

「おめでとうございます!終盤まさかツーで行くと思わなくて大興奮でした!影山選手のフォームが美しすぎてもう本当に最高でした...今日も素敵な試合ありがとうございます!あ、今日はこれにお願いします」

嬉しい、確かに嬉しいのだけど、やはり気付かなかったのか?と、影山は不安になる。もしかしたらこの人は目が悪いのか?それなら毎回俺が探したって意味なくねぇか?

次はみょうじさんが何をしたら喜んでくれんだ。そんなことを考えながら影山は慣れた手付きでサインを終える。
いつも通り「みょうじサン」と名前入りで書こうとし、ふと彼女の名前を知らないことに気付く。
サイン色紙からみょうじに目線を移すと目が合い、彼女が驚いており思わず笑ってしまいそうになる。

(可愛いなこの人)

「名前、なんて言うんすか」
「あっ、みょうじですよ〜」

この人俺がみょうじサンの名字忘れてると思ってんのか?
少し信用されてない気がして顔を顰めてしまう。影山のこの顔はファン向けの顔ではないのでマネージャーからはファンの前でするなと以前から怒られているそうだ。

「いや、下の名前っス。みょうじサンの名字は忘れてません」

その瞬間、みょうじの顔が真っ赤になり「なまえです」と頬を抑えながら小声で名前を伝えられる。
あまりの可愛さに影山は脳内に衝撃が走る。自分の頬が嫌でもにやついてしまうのがわかり、必死に顔の筋肉を働かせようとするが負けてしまう。

「なまえサン...なまえ、サン...」

まるで宝物を貰ったかのように、なまえの名前を呼ぶ影山。またなまえのことを一つ知れた気がして自分は嬉しいのだと理解する。
漢字を聞いてもわかる気がしなかったので、今日も丁寧に、綺麗に、を心がけながらなまえの名前をひらがなで色紙に書く。

いつもならここで去ってしまうなまえのことを今日はどうしても引き止めたくなってしまった。純粋に、もう少し話したい。そう思ってしまった。
去ろうとするなまえの名前を呼び、今日ずっと影山が疑問に思っていたことを問う。

「なまえサン目ぇ悪いっすか?」
「いや!全然悪くないです」
「じゃあなんで今日アップん時俺のことシカトしたんすか、サーブの時も、」
「あっ、わたしそろそろなんで、ハイ」

会話の途中でなまえは顔を真っ赤にして逃げる様に帰ってしまった。何か自分がまずいことを言ってしまったのか?と不安になるが、気づけば後ろのファンの人が話しかけてくれ脳内を切り替える。

菅原さんにまた電話しねぇとな、と帰りながら今日のことを思い出し影山は帰路についた。




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