追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


井上さんの話





デスク作業を終え、今日の業務を終了させる。半年前まで伸び悩んでいた影山のグッズが今週はぶっちぎりで売れていて、上から影山を推していけとのお達しで新しくタイアップやグッズ展開を考えるのが今日の主な仕事だった。
まあ、影山の人気が復活したのもタイミングを考えるとやはり第一子が産まれたことが大きいと思う。SNSのフォロワー数も伸びているようだし、何より今までSNSをあまり使っていなかった影山が子供が産まれたことによりSNSをちゃんと使えるようになり、ファンは喜んでくれている。

飛空くんを連れてなまえさんは良く会場に遊びにくるようになって、最初こそ人見知りをしていた飛空くんも徐々に会場の空気になれたのか歩き出してからはどこへでも行くようになってしまい大変そうだった。

「飛空くん可愛すぎる...!」
「影山選手に激似じゃない?」
「もはや影山選手に笑顔向けられなくても飛空くんが神なので満足なとこあるよ」
「飛空くん担ぎながら対応する影山選手絵面最高に愛しい...!」
「てか奥さん見た?!」
「見た!!!美人すぎて見るの恐れ多かったわ」
「それな?てか何年か前まで普通にファンだったんでしょ?」
「そんなん好きになるよね?!」
「影山選手が奥さん見てる時の顔が優しいったら...もう...なんかこんな素敵なもの見させて貰っていいんですか...って気持ち」
「わかるー!影山家尊い...!」

そんな言葉が聞こえてきて、俺は内心ほくそ笑んでいた。飛空くんは見た目は影山そのままだが、中身はなまえさんのコミュ力を受け継いでいて影山には無い可愛げがありアドラーズのマスコット的な存在になっていた。もちろん俺自身も飛空くんに癒されることは多いし、チームの独身メンバーも普段の練習からたまに顔を出す飛空くんに癒されているのだった。

そして、影山の人気は右肩上がりのまま第二子の飛茉ちゃんが生まれた。これまた見た目は成長していくにつれなまえさんにそっくりで。飛空くんとはまた性格も違い、警戒心が強めで人見知りの飛茉ちゃんは初見の影山ファンと何度も会ってる影山ファンとでは扱いが違うと有名になっていた。なまえさんや影山の足の間から顔出したり、たまに手を振ったり。飛空くんと一緒に手を繋いでにこにこと会場内を散歩する姿は名物になりつつあった。

「飛茉ちゃん、ヤバい」
「あれは、ヤバい」
「将来何人もの男が泣かされるよ」
「いや、あのツンデレ何?なんなの?」
「私達に向ける表情とパパに対する表情が違いすぎて推せる」
「何もしてないけど謝りそうになるもんね...」
「飛空くんと飛茉ちゃんがイチャイチャしてると影山夫婦もあんな感じなのかなってニヤけるんだけど」
「わかる!!何より可愛いのがさぁ、パパが最推しじゃなくて日向選手なとこ」
「それな?!」
「パパめちゃくちゃ怒ってるけど、飛茉ちゃん笑顔で日向選手に頬チューしてるのやばくない?」
「あれはやばかった。脳内保存余裕だったわ」
「ニュースなっててウケたわ。日本平和すぎない?」
「いやあれは世界を揺るがすニュースだよ?!」
「こないだKOZUKENの配信見てたら急に出てきてスマホ落としそうになったわ」
「あ!あれでしょ?伝説の子守回」
「日向選手子供慣れしてんのに、KOZUKENいつも通りすぎてやばかった」
「飛空くんの方が大人な対応で面白かったし、飛茉ちゃんとKOZUKEN人見知り同士で一周回って仲良くなってたよね」

またもや俺は隣にいるファンの言葉にニヤけ面を表に出さないように必死だった。最近は影山がSNSを更新するたびにトレンドが賑わい、先日あった好感度ランキングも上位を独走しており俺としては本当に嬉しかった。なまえさんが自分のせいで、と気に病んでいた時から絶対に影山の好感度を高めてやると意気込んでいたので今の世間の流れにはとても喜んでいる。今となっては影山はパパのイメージがかなり強く、CMも雑誌もインタビューも引っ張りだこだった。さらに先日発売された影山家族がモデルを務めたアパレル関係も完売続出で大成功だったそうだ。

俺としてはこの波に乗り、なまえさんに密着取材依頼が何件か来ているのでぜひ乗っかりたい。だが、ことを影山に伝え承諾を得るのは至難の業だと言うのは長い付き合いなのでよくわかっている。はぁ、頑張れ俺。




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