追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


自慢のママの話





「ねぇパパ?」
「なんだ。流すから目閉じろ」
「うん」

飛雄はシャワーコックを捻り飛空のシャンプーを丁寧にお湯で流していく。飛空は目をぎゅっと瞑り、目にお湯が入らないように小さい手で目を覆っていた。「いいぞ」と飛雄に言われ、先に湯船に浸かっていると飛空が先ほどの話の続きをするのを待っているようだった。

「あのね、きょうママとおさんぽしたの」
「おう」
「ママがいちばんかわいかったの!」
「そうだろうな」
「パパしってたの?」
「初めて会った時から知ってた」
「じゃあずっとママがいちばんかわいいの?」
「当たり前だろ」
「ママすごいね〜!」
「飛空のママは世界で1番良い女だぞ」

飛雄も自分の髪を洗い終えざぶん、と飛空と同じ浴槽に入る。浴槽から勢いよくお湯が出て、飛空はこれがいつも大好きなようできゃっきゃとはしゃいでいる。ぷかぷかと浮いているおもちゃを手に取り飛空の顔に水をかけると飛空からもやり返される。ひとしきり遊んでいると外からなまえの声が聞こえ二人の動きが止まる。

「また遊んでるんでしょ〜?天井びしょびしょにしないでよ〜?」
「「はーい」」

二人で顔を見合わせてなまえには全部お見通しだとくすくす笑いながら風呂を出る。湯冷めしないように飛空を拭いてやろうとすると、既になまえがいて飛空を大きいバスタオルで包み込んでいた。

「ふわふわだ〜!」
「飛雄くん、ごめんそこのオムツ取ってくれる?」
「おう」
「飛空、先これ履いて。あ、こら!」

飛空は風呂上がりに服を着るのが最近嫌なようで、こうしてオムツを履く前に脱走するのが最近のお決まりだった。だが今日は飛雄にすぐ確保され、オムツ姿のまま楽しそうにおもちゃで遊んでいる。

「今日もお風呂ありがとう」
「飛空が、なまえさんのこと可愛いって」
「え?」
「ママが1番可愛かったって言ってたから、俺は初めて会った時からずっとそう思ってるって言っといた」
「な、何の話?」

飛雄が突飛なことを言い出すのは今に始まった事ではないのだが、いまいち内容が入ってこずなまえは困惑したまま飛空に問いかける。

「飛空くん」
「はあい」
「ママのこと可愛いって言ってくれたの?」
「うん!ママがいちばんかわいいっておもった!」
「嬉しいな〜!ありがとう。飛空もかっこいいよ〜」
「パパより?」
「飛空もかっこいいけど、パパはもっともーっと格好いいんだよ」
「とあくんもパパみたいになる!」
「そうだね、じゃあパパみたいにお洋服着ようか?」
「...いいよ!」

我が子ながら素直で良い子だなぁ、と服を着せながらなまえは思っていた。

「ねぇママ」
「んー?」
「おみみかして」

着替えを終えた飛空がなまえの膝の上に座り、嬉しそうな顔をしながらニコニコと振り返ってくるので耳を寄せる。

「ママがいちばんいいおんなってパパがゆってたよ」

思わず吹き出してしまい、牛乳を勢いよく飲んでる飛雄を目で追う。「飛空くんもお耳貸して?」そう言われ、素直に耳を寄せてなまえの言葉を待つ。

「ってパパに言ってこれる?」
「わかった!」

飛空はなまえの膝から飛び降り、飛雄の方へ走って行く。不思議に思った飛雄は飛空のことを抱き上げ、飛空の言葉に従い耳を寄せていた。

「パパはせかいいちのいいおとこだって!ママがゆってた!」

飛空を抱っこしたまま飛雄に勢いよく抱きしめられるまであと少し。




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -