追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


Non puoi vivere senza di te





ローマに暮らし始めて1年ほどが経ったけど、未だに買い物に出かけると疲労が溜まる。慣れない言語にスキンシップ、買い物をするだけで手を握られたり花をプレゼントされたり正直生粋の日本人のわたしには恥ずかしいことも多々あって気が休まらない。

「今日ね、ママ知らない人にちゅーされてた!」
「あ?」
「ちが、飛空!あれはご挨拶!」
「お店の人にこれどうぞってお花もらってた!」
「なまえさん?」
「飛空くん、ほら飛茉ちゃんと翔ちゃん見てきたら?」
「わかったー!」
「さ、わたしも片付けよーっと...」

さっきの話なんてまるでなかったかのように振る舞おうとしたが、飛雄くんが笑顔で腕を掴み椅子へ座らされる。

「で?」
「...挨拶だよ?お花も持って行きな〜!みたいな感じのノリで、その」
「嫌です」

正面から飛雄くんがわたしのことを抱き締める。

「嫌、です」
「ごめん...」
「なまえさんのこと誰にも触ってほしくねぇし、見られたくもねぇ」
「飛雄くん...」
「なまえさんにプレゼントしていいのは俺だけだし、今こんなこと言ってなまえさんのこと困らせてるだけってわかってはいるんすけど」
「...あのね、嬉しいなって思った。って言ったら怒る?」
「怒んねぇよ」

飛雄くんの頬に触れ、そのまま唇を合わせる。何でこの人はこんなにわたしのこと愛してくれてるんだろう。そんな気持ちが伝わったのか、飛雄くんがわたしの耳元で「Non puoi vivere senza di te(あなたなしでは生きられない)」と囁く。急な飛雄くんのイタリア語で、その上真正面から口説かれ体の温度が急上昇する。

「そんなセリフ...!いつ覚えたの?!」
「こないだチームメイトに教わりました」
「...Anch'io ti amo(わたしも愛してる)」

少し照れながらイタリア語で返事をすると飛雄くんが嬉しそうに微笑んでまたキスをする。

「今日、飛空と飛茉寝かしたら一緒に風呂入って朝まで抱いていいですか?」
「朝まではお願いだからやめて...」
「冗談っすよ」
「飛雄くんが言うと冗談にならないから!」
「よし、飛空!飛茉!風呂入るぞ」
「はーい!」

飛空がお風呂の準備をしながらわたしへこそっと耳打ちする。

「パパにいじわるされたら飛空くんが守るからね?」

自分の息子が格好良すぎてぎゅっと抱き締めると、飛茉も寄ってきたので2人まとめて抱き締める。気付いたら飛雄くんも参加して影山家恒例の全員ハグで飛空も飛茉も嬉しそうに笑っていて幸せだなと心から感じる。

ちなみにその日は結局、子供たちが起きる直前まで抱かれる羽目になり飛雄くんの体力を心から恨んだ日でもありました。




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