追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


タブレット





「ママ〜!ひぃちゃんにとられた!」
「順番こねって飛茉に教えてあげて」
「ママが言って!」
「ママは今パパのご飯作ってるから出来ないよ〜」
「もう!ひぃちゃん、にぃにが先にみるの!」
「やー!ひぃの!」

飛空が盗られたと怒っているのはタブレットの話で、今は飛茉が自分で操作して動画を真剣に見ている。今時の子供は自分で操作出来るようになるのが早くて一歳半の飛茉が一人で操作しているのを見た時は驚きを通り越して感心した。

「ひぃちゃんしょーちゃんの動画また見てる!」
「しょーちゃん色んな動きするからアニメみたいで面白いのかな?」
「飛空くんまたしょーちゃんと電話したい!!」
「パパにお願いしなきゃね。あ!パパ帰ってきたよ」

みんなでバタバタと玄関に向かい飛雄くんを出迎える。「おかえりなさい」と帰ってきた飛雄くんに声をかけるとわたし、飛空、飛茉の順で頬に飛雄くんからのキスが降ってくる。この時間がわたしは大好きで、飛茉にキスしてる飛雄くんを見つめていると今度は後頭部に手を回され触れるだけのキスをされる。

「あー!ママとパパちゅーしてる!」
「な、いきなり!」
「なまえさんすげぇ見てくるから、飛茉に妬いたのかと思って」
「妬いてません!もう!」

何年経っても飛雄くんは相変わらず、と言えば相変わらずの様子でわたしは未だに振り回されっぱなしだった。

「パパ だっこ!」
「飛茉...!」

玄関先でいちゃいちゃしてる飛茉と飛雄くんを横目にわたしと飛空も手を繋ぎながらリビングに戻る。

食事を終えた飛雄くんが2人をお風呂に入れようとするが、飛茉がタブレットから離れないので不思議がって覗き込むと日向くんが映っていたようだった。 

「何で飛茉は日向の動画見てんだ?」
「飛茉の最近のお気に入りなんだよね〜?」
「ねー!」
「ひぃちゃんずっとしょーちゃんみてる!」
「しょたん!ちゅき!」
「おい、飛茉。パパの方が強いぞ!」
「飛雄くん大人気ない...」
「飛空くんはパパの方が好き!」
「そんなのママだってパパの方が好きだもんね〜!」

飛空をぎゅ、っと抱きしめると嬉しそうにきゃっきゃとはしゃぐ声が聞こえる。と同時に飛茉の怒った声も聞こえる。飛茉と飛雄くんの方を見るとどうやら勝手にタブレットを自分の試合に変えたらしく飛茉がバンバンと床を叩いて怒っていた。大人気ない。

「や〜〜〜〜〜!!パパ!!!」
「そんな怒んなって」
「しょたん!!みる!」

タブレットを飛雄くんにぐいぐい渡す飛茉の姿が面白くて飛空と二人で笑ってしまう。飛雄くんと飛茉も一歩も譲らない様子で飛空が「やれやれ」と飛茉の方に寄って行った。

「お風呂入ったらパパはママとラブラブするからその時に見ようね!」
「あい!」
「パパ早くお風呂入るよ」
「お、おう」

飛空の大人びた様子にたじたじの飛雄くんの図が面白すぎて、わたしは声を出して笑っていた。飛茉がわたしの方へにこにこ歩いてきたので抱き上げてお風呂の準備をしてあげる。影山家は今日も平和です。




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