追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


嘘つき





なまえさんと付き合ってから俺は毎日こんなに幸せでいいのか?と自分に聞いてしまうことが何回もあった。今日も練習が終わって、家へ帰るとなまえさんから「お疲れ様」と連絡が入っていてそれだけで幸せな気持ちになった。やっぱり、なまえさんはすげぇ。声が聞きたいと連絡をすると珍しくなまえさんから電話がかかってきて、さらに幸せになった。すげぇ。

「ねえ、ずっと気になってたことがあるんだけど」
「なんすか?」
「結局飛雄くんってどこに住んでるの?」
「え、」
「前に家送ってくれた時あったでしょ?あの時最寄り一緒って嘘ついてるのはわかってたんだけど、」
「やっぱ気付いてた、んす、か...」

なまえさんは電話越しで少し笑いながら「気付かない方がおかしいよ、そんな偶然ないもん」と言っている。そうか、やっぱりあの日なまえさんは俺が嘘ついてるってわかってたけど家まで送らせてくれたのか。
彼女の大人としての気遣いに、嘘がバレて恥ずかしいことよりも尊敬が勝つ。

あの日のことを思い返すと、今思えばなまえさんには申し訳ないが俺にとっては史上最大のラッキーだった。
震えた声で俺の前に立ったなまえさんの背中は、すげぇかっこよかった。はじめて握ったなまえさんの腕は思ってたより細くて折ってしまわないか不安になったのも覚えてる。

「俺、なまえさんと少しでも一緒にいたくて。今思えばヤベェやつっすよね」

その言葉になまえさんは「あはは」と機嫌よく笑っている。そう、あの日いつも一瞬しか話せないなまえさんと少しでも一緒にいたくて嘘に嘘を重ねまくった。

「てっきり飛雄くん、わたしのこと心配してたのかと思ったら一緒に居たかったんだ。可愛い〜!」
「なまえさん最近俺のこと可愛い可愛いって言いますけど、なまえさんの方がぜってぇ可愛いっす」





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