追っかけシリーズ番外編 | ナノ






影山選手の追っかけはじめました。


成人式2





仙台から帰宅し、本当はそれぞれの家に帰る予定だったが珍しくなまえさんから家に来てほしいと言われ俺は断る理由も全くないので二つ返事でついて行った。部屋に入るとなまえさんはすっと自分だけシャワーを浴びに行って俺は手持ち無沙汰になる。

「飛雄くんもお風呂入っておいで?」
「いいんすか」
「うん。だって、飛雄くん煙草臭いもん」
「あー、すいません」

ビールの缶を机にトン、と置きながらなまえさんは少し不機嫌そうにそう言い放った。俺のスーツに手をかけ、スルスルと脱がせていく。いつもならキスをしながらそういう行為がはじまるが今日は違った。

「皺になるから、このままクリーニング出しとくね?」
「あ、ありがとうございます...」

ネクタイに手をかけ、なまえさんがぐっとネクタイを引っ張り俺の顔を自分の顔に近づける。でもキスはしてくれない。じれったくなって俺からキスをしようとすると指で止められる。

「ダメ」
「何で、すか」
「お風呂入ってからね?」

ネクタイを解かれ、なまえさんの顔が首に近づく。触れた鼻と髪がくすぐったくてなまえさんの肩を掴むと「ふふ」と機嫌よく笑っていた。今のなまえさんは酔ってるからなのか何を考えているかよくわからない。まぁ言われた通りにしようと俺は1人で風呂に入って自分の体からタバコの匂いを落とした。

「風呂、ありがとうございました」
「おかえり」
「もうこんな飲んだんすか?」

俺が風呂に入ってる間に空き缶の数は増え、なまえさんの顔は赤く熱っている。目は潤んでいて目が合った瞬間俺はごくりと唾を飲み込んだ。俺が欲情してることを知ってか知らずかなまえさんが近づいてきて俺の首に手を回してぎゅ、と抱きついてくる。

「飛雄くんだぁ」
「俺、すけど?」
「ふふ。いつもの飛雄くん」

すんすんと匂いを嗅ぎながら俺の体をペタペタ触ってくるなまえさんに俺は心を乱されていた。キスをしようとなまえさんの後頭部に手を回すと今度は断られず安心する。
もしかして、となまえさんが少し機嫌の悪い理由がわかった気がして頬が緩む。そうであれば嬉しい、嬉しすぎるけどあのなまえさんが嫉妬なんかするか...とイマイチ自分の結論に納得できなかった。

「んっ、...すき」
「俺も好きっす」
「飛雄くん」
「はい」
「ずっとわたしの飛雄くんでいてね」
「?はい」
「わたしね、飛雄くんが思ってるより大人じゃないよ」

そう言いながらなまえさんは体の至る所にキスをしていく。ここまで積極的ななまえさんは珍しくて興奮で頭が溶けてしまいそうだった。蕩けそうな脳みそで何とかなまえさんの言葉を拾って繋げていく。

「ネクタイ、すか?」
「やっぱり煙草、女の子だったんだ」

なまえさんの顔を見ると嫉妬の表情で歪んでいて正直言って俺は、たまらなく興奮した。あのなまえさんが俺のことを思って嫉妬している。その事実が愛されていることと繋がって嬉しくてどうにかなりそうだった。

「ネクタイ、飛雄くんは気づかないだろうなぁって思ってた。誰に言われたの?元カノ?」
「元、クラスメイトっす...」
「ふーん。元、クラスメイトねぇ...」

そのままなまえさんに、ソファへ押し倒されて上から覆い被さられる。

「何か言われた?」
「え?」
「彼女、嫉妬深いね。騙されてない?金目当てでしょ?あと、結構年上なんじゃない?とか」
「な、んで」
「ふふ。やっぱ言われるよね〜。でも、年上の彼女がいるってわかるようにしたのはわたしか。嫌な思いさせてごめんね、飛雄くん」
「嫌なんかじゃ、なかったです」

さっきからコロコロ表情が変わっていたなまえさんの表情が、急に苦いものに変わってから動かなくなった。

「わたし、結構嫉妬深いみたい。知らなかった」
「俺は今めちゃくちゃ嬉しいっす」
「こんな気持ち、今までなったことなかったのに。マーキングみたいなことまでしちゃって恥ずかしい」
「俺がはじめて、すか?」
「そうだよ。こんなに好きで好きで、嫉妬して苦しくて辛いけど大好きなの。飛雄くんが、はじめて」

なまえさんからはじめて、をもらえると思っていなかったので嬉しくてなまえさんを力一杯抱きしめる。感情のまま何度も唇を重ねて「好きだ」と伝える。

「浮気なんかしたら、許さないから」
「はい、しません」
「許さないし、一生別れないから」
「はい」
「若い子が良いってなっても、絶対別れないから...!」
「っ、やべ」
「何?」
「嬉しすぎて、頭おかしくなる」
「もー!飛雄くんて、本当に...!」

バカ、と言いたそうななまえさんの唇に噛み付くようにキスをして今度は俺がなまえさんの上に乗る。酔ってるからか、いつもより感情表現が豊かでなまえさんの目には涙がキラキラと溜まっていた。美しいとか、綺麗とか俺はあんまり感じる方ではないけどこのなまえさんを見て綺麗と思わない人間がいるんだろうか?誰にも見せたくねぇな。そんなことを思いながら、多分明日の朝なまえさんに怒られるけど優しく抱ける自信は全くないまま行為に及んだ。それすらも幸せだと思う俺はかなり、なまえさんに溺れているようだ。




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