影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




恐縮しながらもジュースで乾杯に参加して、隣の谷地さんと飛雄くんの話で盛り上がる。

「影山くんとお姉さんが結婚するなんて夢みたいです!」
「わたしも、夢みたいです」
「でも言われてみれば影山さ、いつも公式戦の時誰か探してたよな〜」
「山口くんも覚えてた?!私もそう言えば影山くんいっつも観客席見てたなって思ってたんです!」
「でも俺ら全員お姉さんは日向のファンだって思い込んでたよね?」
「それは日向が勝手に言い出したからデショ」
「あ〜、日向そう言えば2年のインハイ予選くらいから俺にファンがいる!って騒いでたね」
「それが実は影山のファンで、しかも結婚するって...アイツ本当バカじゃん」

3人が楽しそうに日向くんの話をしてる中、わたしは目の前で3人が話してる現実にドキドキしながらオレンジジュースを飲み干した。

「あ、何か飲みますか?」
「お水もらおうかな」
「あれ〜?名前さん酒豪なのに珍しいですね!」

谷地さんが店員さんを呼んでくれ、お水を頼んでいるとすでに出来上がってきてる菅原くんが絡みにくる。

「最近断酒してるんだ」
「へぇ〜〜〜?!もしかして、もしかしてっすか?!」
「菅原、それはセクハラ」

田中さんの奥さんがビジッと言ってくれ思わず笑ってしまう。別に隠してるつもりもないので「実は、そうなんだ」と告げると菅原くんの驚きの声が店内に響く。と、同時に澤村くんの怒声も飛んできてやっぱり皆さん仲が良いんだなとにこにこしてしまった。

「おめでとうございます!!!!!!!」

色んな方向から声をかけられ照れくさいけど、こんなにも祝福してもらえる飛雄くんは素敵な仲間が居てるんだなと嬉しくなる。わたしはお水のグラスのまま皆さんと乾杯をして、楽しい時間を過ごしていた。仁花ちゃんは来年から上京してくるらしく、東京来たら遊びにきてねと約束をする。潔子ちゃんともお互い新婚ということで話も弾んでガールズトークでしばらく盛り上がっていた。

ガラガラ、と扉を開ける音が聞こえ振り返ると飛雄くんと目が合う。飛雄くんの元に向かおうと立ち上がり、もう一度飛雄くんの方を見ると後ろから日向くんがひょこっと顔を出す。みんなが日向くんと飛雄くんの名前を呼び手を振っていると、日向くんがわたしの前で立ち止まる。

「あ、名前さんですよね?いつも応援あざっした!!!はじめまして!」
「ひな、ひ、日向くんだ...!」

差し出された手を両手で掴んで興奮のまま今日の試合の感想と、烏野時代から言いたかったことを勢いで全部伝えてしまった。目の前の日向くんは嫌な顔一つせず笑顔で相槌を打ってくれて「嬉しいっす!」と手をぎゅっと握ってくれた。感動のあまりもう一度口を開こうとすると横から手を無理やり剥がされて、日向くんとわたしの間に飛雄くんの体が割り込んでくる。顔は、怖くて見てない。
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