影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




試合終了のホイッスルが聞こえ、会場が沸き立つ。わたしは飛雄くんの笑顔が眩しくて目を奪われていた。長いように思えた5セットマッチはあっという間に終わってしまいジャッカルの勝利。飛雄くんと日向くんが握手をしてる姿を見るとどうしても色々思い出してしまい、目頭が熱くなる。そんなわたしの横で莉緒ちゃんは居ても立っても居られない、と言った様子で牛島選手のところに向かいたそうにしていた。

「わたし、仙台の知り合いに会ってくるから莉緒ちゃん行ってきていいよ?」
「いや、でも、影山くんに名前さんのことよろしくお願いしますと頼まれた以上...!」
「大丈夫大丈夫、行っておいで!」

「ごめん!ありがとう!」と牛島選手のところに向かう莉緒ちゃんも懐かしくて、心がほっこりする。とりあえずユニフォーム着てるところ誰かに見られたら恥ずかしいから着替えようかな、と席を立つと後ろから声をかけられる。

「名前さーーーーーん!」
「はい?!」

驚いて振り向くと、菅原くんがニコニコと手を振ってくれていた。ゆっくり階段を降りるとこちらが一方的に知っている方々がいて恐縮する。

「やっぱこっち来てたんすね!」
「この間は遠いところ来てくれてありがとうね〜!」
「それ影山のユニフォーム!相変わらずラブラブっすね!」
「いや、あの、ハイ...」

追求されてしまい恥ずかしくて消えてしまいそうだった。みんなのこの人もしかして...?という視線が痛く、周りに烏野OBの人たち以外居ないかを確認して自己紹介をする。

「影山の、妻です。いつも夫がお世話になっております」

ぺこ、っと頭を下げると「お〜〜〜!」と謎の歓声が湧く。いや、わたしもそんな反応されると恥ずかしいのでやめて欲しいです。菅原くんが紹介してくれ、田中夫妻と東峰くん、谷地さんと挨拶をしていく。

「名前さんは俺らの代の春高も見てくれててさぁ」
「わ、私!名前さんのこと知って、ます!」
「え、あ!ありがとう?ございます!」
「公式戦、いつも来てる人だってみんなでよく話してたので!」
「え〜〜〜それは、恥ずかしいデスネ」

思わず照れてしまい、カタコトになってしまう。さすがにユニフォームのままウロウロするのが恥ずかしくて「着替えてきますね」と声を掛けると菅原くんが一緒に影山にサイン貰いに行こう!と言い出した。

「い、いや〜?ちょっとそれは」
「いいっしょ!俺と2人で行けばほら、カップルに見えるし大丈夫!」
「ええ、」
「影山も絶対喜びますよ!ほら!」

ぐいぐいと背中を押され飛雄くんの列の近くに連れて行かれる。あれ、菅原くんってもしかして結構強引?そんなことを呑気に思っていたが飛雄くんの周りには見たことない人達ばかりでほっとした。菅原くんの後ろに隠れていたので飛雄くんはまだ菅原くんにしか気付いていないようだった。

「名前さんへ、愛してるって書いてください」
「ちょ、っと!」
「あ?え、名前さん?つか、服...」

飛雄くんが驚いた顔で見てきて、わたしは今自分が飛雄くんのユニフォームを着てることを思い出していっきに恥ずかしくなる。菅原くんのせいだ。

「はいほら並べ〜!撮ってやるよ!」
「あ、ちょ、菅原くん、!」

飛雄くんがぐい、っとわたしの方に体を寄せてきて驚く。「も〜やだ、恥ずかしい」と独り言を溢すと飛雄くんが嬉しそうに「可愛いっす」と言ってくるので羞恥心の限界を超えそうだった。

「は〜〜〜〜〜。ごちそうさまでした」
「あ、試合お疲れ様でした!じゃあまた!」
「アザス」

人が近くに増えてきたので菅原くんと共に退散する。スマホで撮ってくれた写真を見ると2人とも微妙な表情で画面を見ながら菅原くんとゲラゲラ笑ってしまった。菅原くんにお礼を言ってやっと服を着替えに行こうと通路で別れるとまた後ろから声をかけられ今日はそういう日なのかな?と振り返ると久しぶりの人に遭遇して思わず体が固まった。
- 80 -


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -