影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




今日は珍しくわたしが遅くまで残っていたこともあり、友人と会場近くのカフェで話し込んでいた。
主に友人から牛島選手の惚気という名のファンサの話であったり、わたしの惚気という名の影山くんのプレーについてを話し込んでいた。

「それにしても今日は強烈なのいたね」
「あ〜〜〜〜ウン。バレーに興味持ってくれるのは嬉しいけど、繋がり目的とかはちょっとなんとも言えないよね」
「わたしも若利くんと結婚したい〜とか言ってるけどそれはもはやネタじゃん?」
「自分でネタって言っちゃうんだ」
「まあでもさ、影山くんのプレー見てたら絶対バレーのこと好きになるって決まってるし!」

うんうん、と2人で無理矢理納得して店を出る。
「じゃあまたねー」店の前で別れ、わたしも帰ろうと駅へ向かう。
何回通ってもこの帰り道は少し寂しいし、行き道はワクワクが止まらない。
昔からそこまで夢中になれることもなく、勉強だけをしてきた人生だったので、まさか成人してからこんなにも自分が夢中になれることと出会えてわたしは幸せだ。

乗り換え案内を調べながら歩いていると、ふと聞き慣れた声が聞こえて思わずスマホから視線を外した。
視線の先には会場にいた女子高校生達に囲まれて明らかに困っている影山くんが立っていた。

「は?」

自分がこんなにも低い声が出ることに少し驚きながらも、怒りで全身が震えてくるのがわかる。
会場での出待ちならまだしも、駅まで追いかけて何がしたいんだ?
選手によっては対応に慣れててスルーできる人もきっといるだろうけど、影山くんはそういうの多分苦手だからきっと困ってる。

ふぅ、と怒りで震える体を深呼吸で落ち着ける。
出来るだけ感情的にならず、出来るだけ愛想良く、出来ることなら揉めることなくお帰りいただけるようにわたしは彼女達に声をかける。

「あの、困ってらっしゃるのでそれ以上は、」

震えそうになる声必死に抑えながら彼女達に声をかけると「は?」と明らかに不機嫌そうに返事をされる。

「ここは公共の場ですし、もう影山選手もプライベートな時間だと思いますので迷惑をかけるのはよくないと思います」
「誰?オバサン、うざいんだけど」
「飛雄と話したいからって割り込むのやめてくれる?」
「ウチら楽しく話してるだけなんだけど」

怒りより恐怖が勝ちそうになった時、今まで黙っていた影山くんがそっとわたしの前に立ち彼女達へ静かに警告する。

「俺だけに迷惑かけんのはいいけど、この人悪く言うのは許さねぇ」

いや、影山くんに迷惑かけるのが一番良くないよ!!!!と心の中で叫んでおいたが影山くんの迫力に圧倒されわたしは大きな背中に隠れていた。
彼女達は影山くんがまさか怒ると思っていなかったようで、もごもごとバツ悪そうにしながらその場を去っていった。
わたしもその場を去ろうとしたが影山くんに腕を掴まれ「名前さんが1人の時に絡まれたら危ないんで」と彼女達が完全にいなくなるまでその場にいることになった。

掴まれたままの腕がまるで燃えるように熱く、その熱が気付けば腕全体に広がり、一瞬で全身が火照り出した。 

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