影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




結局二次会で終わるはずもなく、三次会と続きわたしたちが帰宅したのは深夜遅くで体育会系のお祭り騒ぎの洗礼を受けた。飛雄くんはこの一年でどうやら揉まれ慣れたようで割と元気でわたしはかなり驚いている。

もうメイクを落とす力も何も残っていなかったわたしは、ソファで力尽きてうとうとしてしまっていた。

「名前さん」
「ん〜」
「ここで寝たら風邪ひく」
「もう一歩も動けない、むり」

やだやだと駄々をこねていると、飛雄くんが洗面台からわたしが使っているシートタイプのメイク落としを持ってきてくれて「そのまま寝たらダメって前言ってただろ」と顔の前にメイク落としを差し出してくれる。

「わたしの旦那さん優しすぎる〜!好き〜!」

メイクを簡単に落としへら、っと笑ってみせると飛雄くんからキスが降ってきてぐっと首に手を回してそのままソファに二人でなだれ込む。

「名前さん酒くせぇ」
「飛雄くんも臭いもん」
「今日すげぇ綺麗だった」
「飛雄くんもね〜格好良すぎだった!」

ぎゅっと抱き着いたまま飛雄くんの頬にちゅ、と軽くキスを何度もする。

「んん〜〜とびおく、すき」
「俺も好き」
「飛雄くんよりわたしの方が好き」
「いや、俺の方が好きに決まってんだろ」
「そんなことない」
「うるせぇ」

他人が聞いたらくだらないやりとりも、全てが幸せで。わたしは飛雄くんに服を脱がせてもらいながらほぼ夢の中にいた。髪の毛もヘアー剤でカチカチだからお風呂入らなきゃ、そう思いながら最後の力を振り絞って飛雄くんにぎゅっと抱き着いたところで記憶がなくなった。

朝起きるとちゃんとベッドにいて飛雄くんが運んでくれたのかと感動する。二日酔いでだるい体に鞭を打ち朝から熱いシャワーを浴びて目を覚ました。飛雄くんもお酒残ってるかな、と思い今朝の朝ごはんはしじみたっぷりの味噌汁を作る。今日はいつもよりお寝坊さんな飛雄くんをゆっくり寝かしてあげようと、ソファで昨日ぶりにスマホを触ると参列してくれた友人たちからたくさんの写真が届いており一枚一枚見返す。

最初、結婚式をするって決めた時は正直乗り気じゃなくて出来ることなら家族だけでひっそりしたいというのが本音だった。でも、友人に囲まれてる写真やムービーを見ると盛大にしてよかったなと朝から笑顔になる。飛雄くんの可愛い写真もたくさん送ってきてくれていて友人たちにお礼の連絡をする。スマホに没頭していると、飛雄くんが起きたようで後ろからぎゅっと抱きしめられ「おはよ」と掠れた声が耳元で聞こえる。

「おはよう、シャワー先浴びる?」
「おう」
「朝ご飯、重いのダメだったら味噌汁だけでもいいから飲んでね」
「いや、普通に腹減ったっす」
「さすが...!わかった、用意しとくね」

スマホをテーブルに置いて飛雄くんがシャワーを浴びている間に朝ごはんのおかずを増やす。戻ってきた飛雄くんと朝ごはんを食べながらやっぱりこの時間が幸せだなぁと噛み締める。何日過ごしても、何ヶ月、何年過ごしてもきっとそう思う。
ふと食事中の飛雄くんと目が合う。

「幸せ、ってこういうこと言うんすね」

そう、わたしの大好きな笑顔で言ってのけた。

「わたしも今ちょうどそう思ってたよ。幸せだな、って」
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