影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




今日も無事アドラーズが勝利を収め、ホッとしたのも束の間。久しぶりに会ったファン仲間と少し話し込んでしまい、気付いたら影山くんは先程の女の子達に囲まれていた。

今日もかっこよかったです、と伝えにだけ行くか迷ったがさすがのわたしもあの集団の中に入れるわけもなく遠くから見守っていた。

「あれ?どしたの?」
「あ〜〜〜今日はやめとこうかな、って」

友人に見つかりそう伝えると「じゃあ一緒に行こ!」と牛島選手のところに引っ張られる。
普段影山くんと話しすぐに帰ることが多いので他の選手と話す機会は全くなかった。
目の前で見る牛島選手はやはり迫力が満点で思わず「ごくり」と唾を飲み込んだ。そんなわたしの様子を牛島選手はどうやら怖がっていると勘違いしたらしく同じくらいの目線まで下がりながら、「こんにちは」と挨拶をしてくれる。確かにこれは人気が出るはずだ。

「若利くん!いつも一緒に来てる名前ちゃん!」
「は、はじめまして。今日も試合お疲れ様でした」
「ああ、こちらこそいつも応援ありがとう」

牛島選手の大きな手と握手をしながら、影山くんの手を思わず思い出してしまう。当たり障りのない感想を伝えていると、牛島選手がふと思い出したように話し出す。

「君は、影山飛雄のファンではなかったか?何度か見たことがある」
「正解です。...なんかすいません。でも同時にアドラーズのファンであることも確かなので!」
「俺はバレーを好きだと言ってくれる人が少しでも増えればいい。何も気にしない」

牛島選手の包容力たるや、これで年下だっていうんだから末恐ろしい。
その後も友人と牛島選手の会話がまるで噛み合ってないカップルのようでわたしは隣で面白くて笑ってしまっていた。

ふ、と視線を感じ振り返ると影山くんと視線がかち合う。思わず「あっ」と声を漏らす。
影山くんはまだあの女の子たちに絡まれている様子で今まで見たことないくらい眉間には皺が寄っていた。
影山くんも女の子に囲まれると照れるのかな、そういうところも年相応で可愛いなと思う。

目が合ってしまったので無視するのもなあ、と思い軽く手を振ろうかと手をあげるタイミングで目を逸らされた。
行き場の無くなってしまったわたしの片手はそのままもう片方の手で包みこむ。もしかして目が合ったのも勘違いかな、恥ずかしすぎて消えたい。


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