影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




男子バレー日本代表影山飛雄(20-SCHWEIDEN ADLERS所属)が電撃結婚を発表。自身のSNS並びに公式のSNSで明かし、4月に婚姻届を提出。お相手は「アスリートフードマイスター」の資格を持つ年上の一般女性。最高の人生のパートナーを得て、東京オリンピック(五輪)へと向かっていく。

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(し、資格合格しといて良かった〜〜〜〜〜)

ネットニュースを見ながらまず思ったことはそれだった。こんなことまで書かれるんだなと感心する。ニュースでもちらほら飛雄くんの話題になり、わたしはハードディスクの容量と戦いながらニュース番組の録画を編集していた。どの番組も飛雄くんの試合中の動画を流してくれるのでとてもありがたく思いながらチマチマと編集を続けていた。

結婚の報告は飛雄くんと井上さんと相談してSNS上にて発表することになった。飛雄くんが載せた、花束を抱えたまま撮ったあの写真が思ったより反響が多くてわたし達も驚いた。わたしの顔はもちろん隠されたままの掲載だったのだが飛雄くんがわたしを見る目が優しすぎて、ファンが減るどころか女性ファンがグッと増えたらしい。これは誰にも言わないけど、ちょっとジェラシーを感じる。絶対言わないけど!

記者会見、と言うほどの規模ではないけど飛雄君は公の場で結婚についても言われることが増えてるようで。

「影山選手!ご結婚おめでとうございます!」
「奥様とはどこで知り合われたんですか?」
「とても綺麗な奥様だと噂になっておりますが!」
「結婚の決め手は何かありますか?」
「その若さでなぜ結婚されたんですか?」

と、次から次へと質問が飛び交う中飛雄くんは一言

「これから先、俺のことだけ見てて欲しかったんで」

とだけ答えて、これまた女性ファンが増えたとか。こんなのずるくない?格好良すぎない?飛雄くんと会えない時わたしはこの映像を毎日飽きることなく見ていた。

SNSのトレンドにしばらく飛雄くんの名前が上がることが増え、今回の結婚騒動により飛雄くんのファンが増えたのはわたしと井上さんの嬉しい誤算になった。これは多分日々飛雄くんが真摯にバレーに向き合ってるからだとわたしは思うし、本当に誇らしいことだと思う。

テレビと格闘しながら今日の晩はわたし1人なので、適当なご飯で済ます。飛雄くんは結婚祝いという名の飲み会に連れて行かれるそうで、朝家を出て行くギリギリまで「行きたくない」とぐずっていた。社会人にはそういう日も必要だよ、と送り出すと少し不満そうでまだまだ可愛いなあと思ってしまう。

明日はオフなので、終電近くまで呑んでくるのかと思いきや、思ったより早い時間にインターホンが鳴り小走りで玄関へ向かう。

「おかえり〜!」

と出迎えると、牛島選手と星海選手に支えられて顔を真っ赤にしてる飛雄くんがいた。

「え?!あ、こんばんは、?」
「あ〜悪ぃな、コイツ散々飲まされて」
「久しぶりだな、結婚おめでとう」
「わ!わざわざすいません、ありがとうございます」

突然のことに驚きながら、ぺこぺこ頭を下げ玄関を閉め飛雄くんをベッドまで運んでもらう。さすがにわたし1人じゃ飛雄くんのことをベッドまで運べそうになかったので助かった。そそくさと帰ろうとする2人にお礼にお茶でも、と声をかけると「影山に殺されたくねぇから帰るわ、また起きてる時にな!」と2人は颯爽と帰っていた。なんて良い先輩...明日飛雄くんが起きたらお礼させなきゃ...そんなことを考えていると寝室から声が聞こえて来るので急いで水を持って寝室へ向かう。

「飛雄くん、大丈夫?水飲める?」
「名前さん会いたかった」
「うん、わかったからお水飲んで?」
「飲めねぇ」
「だめ。明日しんどいのやでしょ?」
「のませて」
「ほら口開けて」
「ちげぇ、口移しがいい」

「もー、酔っ払いめ」と言いながらも断り切れないわたしは「1回だけだよ?」と口に水を含んで飛雄くんのご要望通りに口付ける。いつもよりかなり熱い口内に驚きながらも「もっと」と飛雄くんが求めて来るので応える。次第に深くなる口付けに、絶対こうなると思った...と思いながらも飛雄くんのキスを受け入れ、されるがままになる。

「も、んっ、とびおく、ん」
「かわい。すき。くいてぇ」
「そんなとこ、噛まないで、っ」
「名前」

耳元でそう囁かれ、体がきゅんと反応する。何度かそのままキスを繰り返し、抱きしめられたまま大人しくなった飛雄くんを見ると寝てしまったようだ。

「飛雄くんの、バカ」

すやすや幸せそうに寝てる飛雄くんを着替えさせ、わたしも隣で眠ることにする。やっぱりどんな映像にも本物の飛雄くんに勝るものはないなと頬にキスをしてから眠りに落ちた。

翌朝隣の飛雄くんに朝から「この歯形なんすか」とブチギレられそうになるも、わたしの方が怒ってしまい飛雄くんはわたしのご機嫌取りに必死になっていた。たまにはこんな朝も悪くない。
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