影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




先日正式に飛雄くんの会社にもお許しを得て、わたし達は今日はじめて外で食事をすることになった。飛雄くんと待ち合わせをすること自体が初めてで、すでに緊張でガチガチになっている。

飛雄くんからは今日はいっぱいオシャレしてきてくださいと指示をいただいたので、新しい服を着て待ち合わせの駅で待つ。少し早く来てしまい、クリスマスに飛雄くんからもらったマフラーに顔を埋めながら待っていた。そろそろ来るかな?とスマホを取り出そうとカバンの中を見ていると後ろから急に抱きしめられ変な声が出る。

「待った?」
「楽しみすぎて、早く着いちゃった」

首だけ飛雄くんの方を振り微笑むと、触れるだけのキスをされて「可愛いのが悪ぃ」と手を取られずんずん歩き始めてしまった。
怒る暇もなく歩き始める飛雄くんが可愛くて「照れてる?」と声をかける。

「またすんぞ、コラ」
「帰ってからね」
「おう」

掴まれてるだけだった手が気付けば絡み合って、所謂恋人繋ぎに変わる。嬉しくて前向いている飛雄くんの方をこっそり盗み見て、それだけで幸福感で笑顔が溢れ出て来る。夜に外で見る飛雄くん、こんなに格好いいんだ...知らなかった。今日の服装は珍しくピシッとしてるし、大人っぽくて最高に格好いい。横から見てると鼻高いよな〜今日も格好いいな〜好きだな〜。この人わたしの彼氏なんです!!!もうすぐ旦那さんになるんです!!

「名前さん」

飛雄くんが少し恥ずかしそうにこちらを見る。

「見過ぎ、っす」
「もしかして、心の声聞こえてた?」
「それは聞こえてねぇけど。何考えてたんすか」
「飛雄くんが今日も世界一格好良くて、もうすぐこんな素敵な人が旦那さんになるんだな〜好きだな〜、んっ、あ!もう!」
「いや、絶対に俺悪くないっす」

周りに人がいないのをいいことに飛雄くんがそのままわたしの後頭部に手を回して何度もキスをする。今日はヒール履いてるからキス、しやすいんだななんて新しいことに気付く余裕がある程度にはいつもより優しいキスだった。

まるで付き合いたての高校生カップルのように年甲斐もなくいちゃいちゃしながら歩いてしまい、気恥ずかしい気持ちもある。でも飛雄くんが格好良すぎるのが悪い。なんて、わたしも飛雄くんに絆されてるなぁ。

「ここです」と連れてこられたレストランは予想よりかなり高級そうなところで身構えてしまう。オシャレ、というよりいつもより少しフォーマルな服装にしてきて正解だった。ほっと胸を撫で下ろす。

「影山様、お待ちしておりました」

コートを預け席へ案内されると個室になっており、夜景を見下ろしながら横並びで座れるようになっていた。

「凄い素敵なお店だね!連れてきてくれてありがとう」
「、っす。牛島さんが教えてくれました」
「そうなんだ!牛島さんにもお礼言わなきゃね。飛雄くんもありがとう」

少し広めのソファにぴったりとくっついて座り、手を握りながら話をする。完全に家の中にいる癖で2人とも過ごしていてドアがノックされる音で少し距離を取る。

料理が運ばれてきて、また2人きりになる。飛雄くんは普段口数が多い方ではないけど、今日は特に静かだ。慣れない場所で緊張してるのかな、そう思い話を振る。

飛雄くんの今日着けているネクタイはわたしが成人祝いにプレゼントしたものだった。ネクタイを触りながら「似合ってるね。やっぱりそれにしてよかった」と伝えると少し嬉しそうに飛雄くんが話し出す。

「母さんも褒めてた。あと美羽ちゃ、姉さんも」
「よかったぁ」

飛雄くんのお姉さんとはまだ直接はお会いできでおらず、テレビ電話でご挨拶だけさせてもらった。
年もわたしとはあまり離れておらず、親しみやすそうな方でお会いするのが楽しみになった。
飛雄くんはお姉さんのこと美羽ちゃんと名前で呼んでいるようで、わたしの前では隠してるようで隠せていない。また新しく飛雄くんのことが知れて嬉しくなってしまった。

食事を食べながら他愛もない話をして、お酒も進む。オフの前の日ならお酒も特に問題なく飲めるそうで、飛雄くんは新しいお酒を試すのに最近はハマっているようだった。

「ちょっと飲む?飛雄くんにはきついかも」

今わたしが飲んでるワインをじっと見てるので、一口飲んでからそう尋ねるといきなり深く口付けられて危うくワイングラスをひっくり返すところだった。

「もー、家じゃないから!個室だけど!」
「名前さん顔赤くなってて食いたくなった」
「ダメです〜!」
「もっかい、」
「ん、っ...も、だめだって、っ」

ぐっと腰を引き寄せられて唇が何度も合わさる。美味しい食事に飛雄くんとの初デート、気分は最高でお酒も進んでいたため頭がふわふわしてくる。唇を離すとどちらのものかわからない唾液が垂れてしまい慌ててスカートを拭く。
飛雄くんはまだ物足りない顔をしていたが、個室のドアがノックされまた少し距離を空けようとしたが飛雄くんが許してくれなかった。
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