影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




「この方が、一与さん...」
「一与さんに名前さんのこと会わせたかった」

一与さん、飛雄くんのお祖父様のお仏壇に手を合わせる。そこから飛雄くんのお母様のご好意に甘えて飛雄くんの昔の話を聞かせてもらった。

「飛雄はね、産まれてすぐお姉ちゃんのバレーボールで1人で遊ぶくらい好きだったのよ〜」
「か、かわいい...」

赤ちゃんの頃の飛雄くんの写真を見せて頂き、思わずオタク心がくすぐられ変な言葉が飛び出してしまわないか必死だった。

「私達共働きだったから、一与さんがよく面倒見てくれてね〜。3歳くらいからはほぼ毎日体育館行ってたんじゃない?」
「おう」
「中学の時は荒れてねぇ、高校も烏野に行くって言い出すから吃驚しちゃって」
「あ、荒れてたんですか?!」

ヤンチャな飛雄くんが想像できず、目を白黒させていると飛雄くんが恥ずかしそうにお母様に「やめろよ」と止めに入っていた。

「でも俺が烏野行ってなかったら、名前さんとは出会ってねぇし」
「もしかして、名前さんって烏養コーチとも面識ある?」

突然聞かれた知ってる名前に反応すると、飛雄くんのお母様が「あ〜!」と何かを思い出したような表情で話し出した。

「私、やっぱり名前さんのことをどこかで見たと思ってたけど、思い出したわ」
「え?!そうなんですか?」
「仙台市体育館の入り口で烏養コーチと話してるとこ見かけたの。てっきり烏養コーチの彼女さんだと思い込んでたけど、もしかして、その時から、?」
「い、いえ!お付き合いさせてもらったのは飛雄さんが社会人になってからで」

さすがに高校生の飛雄くんと付き合ってると思われたら困る!と目の前で必死に手を振って否定する。飛雄くんのお母様は笑いながら「大丈夫、そうじゃなくて」と話し続ける。笑った顔、飛雄くんと似てるな。なんて考える余裕も出てきた。

「その時から飛雄のこと応援してくれてたの?」
「あ、はい。飛雄さんのバレーに惹かれて、高校1年生の春高からこっそり応援させてもらってました」
「飛雄よかったわね。こんな綺麗な人がアンタのファンだって」
「いや、もうファンじゃなくて俺の嫁だろ」

その言葉に思わず飛雄くんのお母様と目を合わせ、声を出して笑ってしまった。「この子、本当こういうとこあるでしょ?名前さんも怒ってくれていいからね」と笑いながら話してくれる。飛雄くんはわたしとお母様がなんで笑ってるか全くわからない様子でただ、お母様の方を不機嫌そうに見ている。

飛雄くんは今日はご実家に泊まるので、わたしは仙台駅のホテルに宿泊することにしている。帰るギリギリまで泊まっていかないの?とお母様には言われていたがさすがにそこまで鋼のハートは持ち合わせておらず飛雄くんのお父様にホテルまで車で送っていただく事になった。お父様は物静かな方で、その分お母様が明るくて素敵なご夫婦だなと感じる。わたしと飛雄くんも、あんな風に素敵な夫婦になれたらいいな。
- 51 -


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -