影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




飛雄くんからの盛大な愛の告白を受け、わたしもぽつりぽつりと思い出話をはじめた。

「わたしも前言ったと思うんだけど、就活でしんどい時に飛雄くんのプレーをテレビで見てこんなに綺麗なものがこの世にあるんだって目と心を奪われた」 
「っ、す」
「見るたびに綺麗で、強くて、格好いい飛雄くんが心の支えで。飛雄くんのファンだって胸を張って言うにはわたしも仕事頑張らなきゃって頑張れたの」

飛雄くんの綺麗な手を触りながら、話を続ける。心の内を話すことがこんなに恥ずかしくて難しいことって知らなかった。

「それで、最初ね、飛雄くんが好きだって付き合いたいって言ってくれた時」
「おう」
「このまま放置したら、みんながいるところで好きだとか付き合おうとか言ってくるんじゃないかって」
「気づいてたんすか?」
「え?!冗談のつもりだったんだけど...」
「あのまま東京帰って知らん顔して来たら試合終わって毎回付き合ってほしいって言ってやろうって思ってた」

あの時のわたし、判断が完璧すぎる。

「まあ、とにかく。最初は飛雄くんが満足するまでって決めてたの」
「知ってます。名前さんはずるい大人だって言われたんで」
「そうなの?!」
「ハイ、菅原さんに大人の女はずるいから気をつけろって」

菅原さん、と脳内で思い返すと飛雄くんの先輩を思い出した。たまに会場で見かけてた人かな?そう尋ねると多分そうとのこと。どうやら菅原さんもわたしのことはなんとなくわかっているようで、飛雄くんはよく相談していたそうだ。知らなかった。

「それなのに気付いたらわたし、飛雄くんのこと好きになっちゃってた。でも歳の差だってずっと気にしてるし、ファンから飛雄くんと付き合ったことだって後ろめたいし、もし何かあったら、飛雄くんのバレー人生に傷ついたら、その原因がわたしだったらって思うと怖くて怖くて」

飛雄くんは何も言わずにぎゅっと優しく抱きしめてくれる。

「でも、それでも一緒にいることを選んだの。飛雄くんのこと愛してるから」
「俺も、愛してます。まだ頼りないかもしんねーけど俺が絶対に名前さんのこと守るんで」

目を見て真剣に話してくれる飛雄くんはもう大人の顔をしていて、もう何も心配しなくていいのかなと思えた。
 
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