飛雄くんの理想がかなり高そうなので、わたしは今日から2週間くらい筋トレとダイエットを心に決めた。頑張る。いやもう遅いけどさ。
「お、お手柔らかにお願いします」
「こちらこそ、?」
あまり意味は伝わらなかったのか、きょとんとしたまま返事をされる。「誕生日欲しいものある?」と尋ねると飛雄くんは途端にいたずらっ子の顔になりわたしにまたキスをする。
「名前さんのこと、全部貰うんで他はなんもいらないっす」
「そ、そういうの、どこで覚えてきたの...」
飛雄くんが格好良すぎて思わず両手で顔を覆った。好き...と心の中で呟いたつもりが声に出てたようで、飛雄くんが嬉しそうに「俺も」と耳元で囁いた後耳にそっとキスをしてくる。これもう気にしないようにしてたけどエッチするより先にピロートークしてるよね?!そんなことある?そんなバカなことを考えていると飛雄くんの方から「あ!」と声が聞こえる。
「名前さんとお酒飲みたいっす」
「いいね!お姉さんがお酒の楽しみ方を教えてあげよう」
「あざす!」
「なんか色々買っておくから飲めそうなやつちょっとずつ飲もうね」
嬉しそうににこにこしてる飛雄くんが愛おしい。もう何回目かわかんないけど、なんならずっと毎秒愛おしいけども。まあわたしもお酒は弱い方ではないけど、酔ったら面倒くさい自覚があるので普段はあまり飲まないようにしている。烏養さんには改めて本当に申し訳なかったなと、仙台に謝罪を飛ばしておく。
「チームの人もお祝いしてくれるんじゃない?」
「そうっすね、牛島さんも星海さんも飯奢ってくれるって言ってました」
「また話聞かせてね」
「っす。肉腹一杯食ってきます」
「飛雄くんの腹一杯怖いんだけど」
思わず声出して笑ってしまうと、飛雄くんもつられて笑っているようだった。
「あ、そうだ。これ渡しとくね?」
「なんすか?」
「ちょっと早いけど、1個目のプレゼント」
そう言ってわたしはこの部屋の合鍵を飛雄くんに渡す。飛雄くんは驚いてわたしと鍵を交互に見比べて言葉が出ないようだった。
「い、いつ来てもいいんすか!」
「飛雄くんがいいなら、ね。無理はだめ」
「嬉しいっす」
「うん。待ってるね」
鍵を大切な宝物のように扱ってくれ、わたしも嬉しくなる。名残惜しそうな飛雄くんを送り出して、寝る前に資格の勉強をはじめた。資格のことはまだ飛雄くんには言ってないけど喜んでくれたらいいな。
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