今日はいつになく飛雄くんがひっつき虫で、わたしとしては可愛いし愛おしい。ただ背が高いし力も強いのでそのうち握り潰されないかは少し不安である。いやもはやそうなったら本望ですけど。
今日の食事も飛雄くんはぺろりと完食してくれ、わたしはそのお皿を洗うのが本当に嬉しい。お腹いっぱいになった飛雄くんがソファでうとうとしてて、眠そうな時の飛雄くんはいつもより目つきは悪いけどなぜがものすごく子供に見えてさらに可愛い。飛雄くんに欠点なんてあるのかな、と最近の疑問である。
にこにこしながら飛雄くんを見ていると、目が合う。「名前さんまだ?」と拗ねたように待っていた。台所は万が一怪我したら大変なので、わたしがここに立っている時は近づいてはいけないルールになっている。
「お待たせ」
と、暖かいお茶をテーブルに置いて飛雄くんに近づく。ぐっと腕を引かれて座った先は飛雄くんの足の間で、後ろからぎゅうぎゅうと抱きしめられた。首筋に飛雄くんの鼻が当たってくすぐったい。身を捩って飛雄くんの方を振り向くとすぐ近くに顔があり、今度はわたしから唇を寄せた。軽いキスのつもりが、飛雄くんにそのまま捕獲されどんどん深いキスになる。こうなったら飛雄くんは止まってくれないのでどちらの唾液かわからなくなるまでキスは続いた。
「んっ、も、だめ」
「足りねぇ」
「お茶冷めちゃう」
「こっち」
わたしが飛雄くんの方を向かずにテレビを見ていると、頭、首、耳とそこら中にキスされて心臓がもたない。しばらく飛雄くんの好きにさせていると、首の後ろをきつく吸われ満足そうにまたぎゅっと抱きしめてきた。先に言っときますけど、もちろんまだ一線は超えてない。
「キスマーク、やだって言ってるのに」
「見えないから大丈夫っす」
「後で鏡見たら恥ずかしいの」
「恥ずかしい、んすか」
飛雄くんの喉がごくりと鳴る。さすがにここまで密着してると、飛雄くんのが当たってるのもわかってはいるけど「ちゃんと我慢します」と飛雄くんはいつもキス以上絶対に何もしてこない。わたしが言い出したことなので、愛されてるなぁと思う反面非常に申し訳ない。面倒くさい性格でごめんね。と、お詫びのキスをする。
「もうすぐ飛雄くん誕生日だね」
「いっ、今、それ言うんすか?」
「え?!」
「俺はもう誕生日とかどうでもいいんで、早く20歳になって名前さんのこと抱きてぇ」
そう耳元で囁かれ、思わず変な声を出してしまうと飛雄くんは嬉しそうに笑っていた。筋トレ、しようかな。
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