影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




飛雄くんの、ファンを辞めて彼女になった。今まで土日はほぼバレーの試合を見ていたわたしは、急に時間を持て余すようになり資格の勉強に励んでいる。飛雄くんとは会う時間も減ることはなく、現状維持でとても良い関係を築いていけている、とわたしは思う。たぶん飛雄くんは足りないって思ってるだろうけど。わたしは未だに会いたい、と自分が言えば飛雄くんが会いに来てくれるこの事実だけで結構満足していたりもする。

今日は久しぶりに飛雄くんが早い時間から遊びに来れるそうで、わたしもせっかくなので有給を使用してお昼ご飯作りに励んでいる。
飛雄くんはポークカレーが大好物だけど、それ以外も美味しいとたくさん食べてくれるので嬉しくていつも作らない量を作ってしまう。

窓を開けて換気をすると、ひんやりと冷たい風が入ってくる。そうか、もう12月かなんて思いながら先日飛雄くんがプレゼントしてくれたカランコエの花瓶の水を替える。どうやら花言葉もちゃんと考えられているようで、次はどんな贈り物をしてくれるのかわたしは楽しみになっている。

準備も終わり、ソファで休憩しながら飛雄くんのバレーの試合を見ながら飛雄くんを待つ。なんて幸せな時間なんだろう。そんなことを思っているとインターホンが鳴り帽子にマスク、首元はマフラーで覆われた怪しい飛雄くんが現れた。

「いらっしゃい」
「っす」

扉を閉め、飛雄くんのことを玄関先で両手を広げて出迎える。外から来た飛雄くんの体は冷え切っておりわたしの体温は瞬く間に奪われる。

「はぁ〜〜〜〜」
「どうしたの?」
「やっと会えた」

ひんやりとした指が頬に触れ、飛雄くんから唇が重ねられる。そのまま抱き上げられ、ソファまで移動する。部屋に入ると、一瞬も離れたくないと言わんばかりに飛雄くんがずっとひっつき虫になっていた。この生き物可愛すぎるんですけど。

「飛雄くん」
「なんすか」
「わたしも、やっと会えて嬉しい」

ふふ、と笑いかけると飛雄くんは嬉しそうに目を細めてわたしのことを潰さないように気をつけながらぎゅっと力強く抱きしめてくれた。わたしは今日も、飛雄くんのことが世界で1番大好きです。
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