影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




友人との懐古電話も終わり、スマホを見ると飛雄くんからの複数の着信に驚く。時間はバラバラでつい先ほどの着信もあった。かけ直そうか迷っていると、スマホが震え出し反射で電話に出てしまった。

「名前さん!!!」
「は、はい!」
「今日、俺、その、嬉しくて、」
「大丈夫!今日はわたしがごめんなさいしようと思ってて」
「何で、すか」
「そもそもわたしがもう辞めようねって言ってたのに中途半端に顔出しちゃって、ごめんなさい」
「いや、俺こそ試合中名前さん見つけて思わず癖で」

電話越しでもわかる飛雄くんの落ち込み具合に、全ての感情を差し置いて愛おしいが勝ってしまう。

「あのね、本当は顔見て話したいことがあったんだけど、このまま少しだけ喋っていい?」
「...怒るんすか?」

まるで悪戯がバレた子供のようにわたしの様子を伺いながら話している飛雄くんが、可愛くて、可愛くて。わたしのだらしない顔を見せてしまうところだったので電話で本当に良かったと思います。「怒らないから聞いて」と笑いながら続ける。

「飛雄くんが前に言ってくれたように、ファンをやめようと思います」
「あ、?」
「わたし、今思い返したら相当ワガママで罰当たりな強欲女だったと思うの。飛雄くんのファンもしたいし彼女にもなりたい、なんて」

「そんなこと、ないっす」と相槌を打ってくれる優しさが本当に優しいな、と思う。飛雄くんは最初から言ってくれてたのにわたしが中途半端に提案した結果、飛雄くんに迷惑がかかってしまった。これ以上何か問題が起きる前に、本当は身を引いて別れるのが1番いいってわかってる。でも、やっぱり、それは出来ない。付き合う時は飛雄くんがちゃんと好きな人出会えたらいい、その時は別れようだなんて綺麗事考えてたけど。こうやって真っ直ぐに愛をぶつけてきてくれる飛雄くんに対して失礼すぎるし、何よりもうわたしが飛雄くんのこと離してあげれそうにない。

「だからね、飛雄くんの彼女にして欲しいです」
「もう、俺の彼女っすけど」
「ふふ、そうだったね」
「もう試合見に来ないんすか」
「わたしのことを飛雄くんのファンだって分かる人が居るうちは、行かないでおこうって思ってる」
「じゃあデートしたいっす」

全然じゃあ、じゃないしわたしが会場行かないからって外で会う話じゃないよね?飛雄くんたまにこういう空気読めないとこあるけど、それすらも可愛いと思ってしまうわたしは割と重症だと思う。「だめです」と返事すると今度は今すぐ会いに行きたいと駄々をこね出した飛雄くんを止めるのが大変だった。でも、それも全部幸せに感じるなんてやっぱり重症だ。

- 35 -


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -