影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




なんだかんだで飛雄くんは時間を作ってくれている様で、わたしがどれだけ遠慮しても2週間に1回は遊びに来てくれる。ちなみに毎回甘い空気に引っ張られそうになるがなんとか先日のおでこキス事件からは、ハグ以上のことはせずに健全なお付き合いを守れている。何かあったら飛雄くんのお母様に申し訳が立たない。

わたしとしては土日に飛雄くんのプレーを見てるので頻繁に会っている気がしているけど、飛雄くんは違うらしい。けど、以前なら毎回試合後に話していたのも、土日の1回、2週間に1回、と少しずつ調整して減らす様にしている。正直、こればっかりはめちゃくちゃ寂しいし虚しい。

飛雄くんは目立ったファンサもしなくなり、他の飛雄くんファンからは「干されてる」「オキニ変わった?」「推し変?」など散々な言われようをしているらしいが他の人たちはこぞって今飛雄くんのお気に入りのファンになりたくて頑張っている、らしい。

個人的に会ってるとはいえ、わたしだってバレー選手の飛雄くんにサイン書いてもらったりファンサービスしてもらいたい。でも、それは許されない。贅沢だって、わかってるから誰にも何も言えずに今日も他のファンの子達がサインしてもらっているところをスルーして帰宅した。

来週から飛雄くんはリオに、つまり飛雄くんのプレーを生で見れなくなってしまう。テレビだとスパイカーがよく抜かれるのでセッターの飛雄くんはあまり見れない。というよりわたしは1秒でも飛雄くんの動きを見れないのが嫌なので会場のモニターも見ずにいつも飛雄くんだけを凝視している。それが、出来ないのが辛い。このスパイカーが打った飛雄くんのセットアップはどんな物だったんだろう、きっとフォームはいつもみたいに綺麗で、とかそんなことばっかり考えてしまうんだろうなあ。JAPANユニフォーム生で見たかったなあ。と、悶々と自室で考えているとスマホが鳴っていることに気づく。

「もしもし?」
「あ、名前さん今家っすか?」
「外で名前出しちゃダメ、家だよ」
「すんません。少しでいいんすけど寄っていいですか?」
「わたし今帰ってきたばっかりだから、食べるものとか何もないけどいい?」
「ハイ!大丈夫っす」

電話を切ってから試合後に来るなんて珍しいな、そう思いながら部屋を片付ける。少しでも完璧な状態で飛雄くんを出迎えたい、というのはわたしの自己満足だった。

お付き合いをはじめて、1ヶ月ほどが経とうとしてるけどわたしはまだこの関係が良いものだとは思えないし、以前の方が良かったのではないかと思ってしまう。
それでもやっぱり受け入れてしまうのは飛雄くんのことが選手としても人としても好きだからだ。
好きな人に好かれたい、そんなシンプルな理由だった。

電話を切ってからそこまで時間は経ってなかったがインターホンの音がする。玄関を開けるといつも見えるはずの飛雄くんの顔が見えず真っ青な花束で隠れていた。

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