影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




抱きしめられてしばらく経つと、飛雄くんがそのままの体勢で話し出した。耳元で話されると恥ずかしいのと、飛雄くんの声が良すぎて腰が砕けそうだった。

「それで、その、リオのことなんすけど」

あ、そう来たか。正直飛雄くんのことだからもうすっかり忘れてるかと思っていた。実際先日の仙台小旅行で旅行会社への入金は間に合わなくてキャンセルになってしまっているし、もう諦めかけていた。でもやっぱり、言われると行きたくなってしまう。

「やっぱり、昨日も言ったんすけど俺は名前さんには日本で待っててほしいっつーか。心配なんで来て欲しくない、デス」
「うん...」
「今はまだ無理っすけど、次の時は名前さんのこと俺が連れて行くんで、それまでで待ってて下さい」
「ふふ、嬉しい」
「本気っす。離れてても名前さんが応援してくれてるって思ってプレーするんで俺以外見んじゃねぇぞ、コラ、っス」

途中まで抱きしめられていて飛雄くんの表情はよく見えなかったけど、最後の方はしっかりと目を見て話されてしまいわたしは話の最後まで気を確かに持てただけで偉いと思う。褒めてほしい。後半はもう脳内パニックが酷すぎてあんまり何を言われたのか理解できてなかったけど、数秒経って理解した瞬間耳まで真っ赤に染まってしまった。

「あ、えっと、あの、うん。見ない、よ?」
「名前さんその顔可愛すぎ」

わたしの慌てふためきぶりに飛雄くんは少し意地悪そうな顔をしながら距離を近づけてくる。真っ赤に染まってるであろう耳を両手で触られ、思わず身を捩る。そのまま両手は両頬に添えられ、真剣な顔で見つめられる。

(やばい、食べられる)

そう思ったと同時に最後の気力と力を振り絞って勢いよくソファから立ち上がる。

「あ!あ、あの!そろそろ時間!明日も仕事だし!飛雄くんも練習でしょ?」

飛雄くんは少し拗ねた表情に見えるが、うん、大丈夫、いつも通りの顔してるって思おう。テキパキと飛雄くんの荷物を準備して手に持たせる。飛雄くんは何か言いたそうにしていたが、これ以上長居されるとわたしの気力が持たないし何より未成年とそういうことをしてしまうのはさすがに後ろめたかった。
玄関前まで見送り「じゃあ、またね」と告げる。

「また来れる時連絡します」
「うん、待ってるね」
「名前さん」

恥ずかしさから飛雄くんの胸あたりを見ながら話していたが、名前を呼ばれて上を見る。ちゅ、というリップ音と共におでこにキスされたことに気づく。

「おやすみなさい」

と、飛雄くんはわたしのおでこにキスして逃げる様に帰ってしまった。わたしはそのまま玄関に座り込み「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜好き...」と熱を持った額を押さえる。現実に起きたことだと思えないわたしはしばらくその場から動けず玄関でしゃがみ込んでいた。

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