影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




ソファに座ってからも影山くんは手を離そうとせず、わたしの手を握っては離して、撫でては指を広げたりと楽しんでいる様子だった。わたしとしては羞恥心が限界突破しそうだったので何か話題がないかと必死に脳内で検索をかける。 

「カレー!を!持ってきます!」
「カレー!」

目がキラキラとはこういうことを言うのか、と言うほどに影山くんの目は爛々と輝いていてよほどカレーが好きなのだなと感じる。ファン感謝祭で散々影山くんのカレー好きを聞いてはいたが、ここまで好きだとは思いもしなかった。昨日も食べてましたよね?

「お口に合うと良いんですけど、」

と言いながらテーブルにポークカレー温玉乗せを置くと両手を瞬時に合わせ「いただきます」と食べ始める。影山くんのお母様〜〜〜!息子さんの教育が素晴らしいです!本日2度目の感動をしながらわたしはキッチンで少し残っていた片付けを続ける。

「あの、名前さん」
「はぁい」
「おかわりって、ありますか?」
「えっ!もう食べたんですか?」

時間にして10分も経ってないだろう。お皿が少し小さかったかなと思いながら影山くんがキッチンまで持ってきてくれた、綺麗に空っぽなお皿を見てとても嬉しくなってしまった。
美味しい、と言う言葉よりこの綺麗なお皿が何よりのメッセージな気がして笑みが溢れる。

その後お腹が満たされた影山くんはソファに先程より深く沈みながら、少しリラックスしているようだった。洗い物を終えると、影山くんが「名前さん」と自分の横をトントンと叩いている。これは、横に座れと言うご指示でしょうか?ドキドキしながらソファに近づくと影山くんの長い腕が伸びてきてソファに引っ張られる。

「美味かったっす。めちゃくちゃうめぇ、かったです」
「たくさん食べてもらえて嬉しかったです」

と、笑ってみせると影山くんはまたわたしを抱きしめながら今度はわたしの肩に顔を埋めてきた。首筋に当たる髪の毛が少し擽ったくて身を捩るとガバッと肩に手を置かれ距離を取られる。影山くんの突発的な行動にもう少し慣れないと本当に身が持たない。無言のまま見つめられるのはとても居心地が悪く、影山くんの名前を呼んでみる。

「わたしから何個かお願いがあるんですけど、聞いてくれますか?」
「内容によります」
「えっと、じゃあ、昨日も軽く言ったんですけど。外では会わないです。あと、影山くんの家でも。ここでだけ、でお願いします」
「次は?」
「試合行った時、今まで見たいなファンサはもう辞めてください。わたしのことは見つけなくて良いです」
「...つぎ」
「急に減らしたら怪しいんで少しずつにしますけど、試合終わった後話に行くの控えます。あとそう言う時はちゃんと、今まで通りファンと選手の会話にして欲しいです」

何個か伝えてみてるが、影山くんは聞いてるのか聞いてないのかよくわからない反応でわたしばかりが一気に話している気がした。

「ここまでで何か質問ありますか?」
「ないっす。俺からもいいすか?」
「は、はい!」
「名前さんの言ってることちゃんとするんで、2人ん時は敬語やめて、名前で呼んでほしいっす」

本当にちゃんと聞いてた?!そんなサラッと流して良い話わたししてるつもりなかったんだけど、大丈夫?!

「と、飛雄、くん?」
「ヤベェ」

と言った瞬間またわたしの体は影山くん、もとい飛雄くんの体に引き寄せられる。抱きしめられてる隙間を縫って飛雄くんの顔を盗み見ると耳まで真っ赤に染まっている。その顔をみた瞬間わたしまで恥ずかしくなって顔に一気に熱が集まる。

(だってそんな顔、まるで、わたしのこと好きみたい)


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