影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




「初めまして、じゃないっすよね」



影山くんからの言葉に思わず動揺が隠せず、言葉が出ないまま、まるで金魚のように口をパクパク開閉させていた。
言葉を発することを放棄したわたしは思わずこくり、と頷きもう一度影山くんの顔を恐る恐る見上げることにした。



「つか、烏野ん時から試合来てたっすよね?」
「っ、ごめんなさい!!!!!!!」
「いや、なんで謝るんすか」



頭上にクエスチョンマークを浮かべたまま影山くんはわたしの差し出した色紙にサインを続けていく。
あ、と影山くんの声が聞こえて色紙から影山選手に目線を移すと先程より近い距離で目があってしまい思わず目を逸らしてしまう。こんなに綺麗なものを近くで見たら目が溶けてしまう。



「名前なんて言うんすか?」
「名字、です」
「名字サン、俺は影山です」
「存じ上げております...」
「そうっすか。俺ずっと名字サンは日向のファンかと思ってた、デス」



そう言い切るとふ、と目を逸らされ少し気まずそうな影山くんに思わずわたしは否定の言葉を少し強めに発してしまった。



「わ、わたし!影山選手のファンです!1年の春高から、ずっと好きです。あっ、影山選手のプレーが!好きです!もちろん日向くんも素敵だなって、いつも2人のプレーにドキドキしてましたけど。でも!影山選手のファンなので、あ、ハイ」



自分でも驚くくらい大きな声で影山くんに伝えてしまい、羞恥心で体が消えてなくなりそうだった。影山くんはキレ長の目を見開いて少し驚いた表情の後少し眉をきゅっと顰めたかと思うと見慣れない年相応の笑顔を見せてくれた。

わたしは今日死んでしまうのかもしれない。なぜ眼球に録画機能がついてないのか、悔やんでも悔やみきれない。この笑顔だけでこの先一生健康に生きていける気がした。



「アザス。嬉しいっス」
「また、来ます!来れない時も見ます!これからも、ずっと応援させて下さい」
「っス。今までも応援ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」



影山くんはそういうと色紙にきったない字で名字サン、と付け足してくれてどうぞと渡しくれた。
多分わたしはこれからも影山くんの試合を見るし、こうやって話すこともあるだろうし、サインだってもらうこともある。だけど、今日のこのサインを見るたびに何度だって今日のことを思い出すし何度だって影山くんのプレーに恋をする。

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