影山選手の追っかけはじめました。 | ナノ




これは多分、わたしが今酔っ払ってるからとかそういう理由ではないと思う。お酒飲んでない時に言われても脳内処理は追いつかないし、例え処理が追いついたとしても意味がわからないと思う。

「ファンには手出すなってマネージャーに言われたからっす」

さらっとそう言いのけた影山くんは涼しい顔をして、まだ食べたりなかったのか目の前のカレーをもぐもぐと食べていた。
やっぱり影山くんいっぱい食べるんだなあ、もぐもぐしてるとこ可愛いなあ、とか現実逃避を思わずしてしまう。

「ここのカレーもうまいっすけど、名前さんのカレーが今まで食べた中で1番美味かったす」
「あ、ありがとうございま、す」
「は?」

烏養さんのその反応は大正解だと思う。わたしも未だに自分の手料理が影山くんの胃袋に収まったとは俄かに信じ難い。

「明日、食えると思ってました」
「ごめんなさい...?」
「はぁ?」

なんでわたし今影山くんに怒られてる?影山くんのマイペースについていけず、ほぼ放心状態でぽかんとしていると烏養さんも眉間を押える。

「んで、なんなの?お前ら結局付き合ってんの?痴話喧嘩なわけ?」

ため息をつきながら烏養さんはもう付き合ってらんねぇ、とでも言いたそうに呟いた。
わたしは滅相もない!と力強く否定の言葉を発すると影山くんの言葉と激しくぶつかった。

「付き合ってません!」「付き合ってます!」

ん?????????わたしの頭上にはもはやハテナマークなんかでは補きれないほどの困惑だった。影山くんに至ってはわたしの発言にとても驚いている様で同様にハテナマークを浮かべながら首を傾げている。何度でも言わせて欲しい、その顔は、ずるい。

「ハァ〜〜、なんか話が噛み合わねぇと思ったらそーゆーことな」
「え、俺、名前さんと、付き合って、ないんすか?」
「わ、わたしに言われても...」
「でも俺、名前さんにずっと好きって約束してもらったんすけど...」

(あっ、あれか〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!)

「あれはその、ファンとしてって意味かと思ってて」
「俺のこと好きでいてくれるならなんでもいいすけど」
「あ、ハイ」
「でも俺は名前さんのこと、ただのファンって思ったことは一回もないっすよ」

目の前の影山くんはわたしの目を見ながら力強く、ハッキリとそう言った。わたしの体が爆発する体質だったら今もう爆発してたに違いない。息がうまく出来ず、隣にいる烏養さんにヘルプを求める。

「はい、じゃあとりあえず今日はもう遅いからここまでな。お前今日は実家送ってくから」
「俺名前さんと同じホテルでいいすけど」

烏養さんが影山くんの後頭部を軽く叩き問答無用で実家に送られる様だった。
烏養さんがお会計をしてくれてる間、店の前で2人きりになる。正直言ってとても気まずい。

「あ、あの」「あの」

ど定番だが影山くんと声が重なり、更に気まずい空気が流れる。

「明日、烏野で町内会の人たちと練習試合あるんで、その、来ませんか?」
「行きます!やった!」

練習試合とは言え、影山くんの試合だ!嬉しくて思わずガッツポーズをしてしまう。ちょっと子供っぽかったかなと恥ずかしくなると、影山くんが少し照れながら「俺のこと可愛いとか言って来ますけど、名前さんの方がよっぽど可愛いっすよ」と爆弾投下してきたので、その後はお互い照れすぎて話にならなかった。
会計を終えた烏養さんがにやにやしてたのは無視しておこう。

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