ミッション その35


「お願いします。許してください。」
 瞬は必死だった。
「兄さんの代わりに僕をあなたの好きなようにしてください。兄さんをー、兄さんだけは助けてください。」
 沙織は沈黙したまま瞬を見た。自分はこれほど誰かを愛したことがあっただろうか。
 それにしても、なぜアンドロメダは行動することができたのか。自分の力が彼にだけは及ばなかったのだろうか。沙織は疑問に思いながらも緊張を緩めた。
 星矢達の呪縛が解かれた。その場が何とかおさまったらしいことに安心してほっと顔を見合わす。
 が、その時だったー
「鳳凰幻魔拳!」
「兄さん!」
 瞬の制止も間に合わない。
 一輝にすれば、死を覚悟しての攻撃だった。
 しかし沙織は全くダメージを受けた様子もなく、ただその場に立ったまま一輝を見据えている。
「そんな馬鹿な…」
 一輝が呟いた。





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