ミッション その1
何故闘うのか 何のために傷つけあうのか
瞬はその答を見つけることはできなかった。
バトルに参加したのも、ブラックフォーと闘ったのも兄に会いたい一心からだった。闘うことを自ら望んだわけではない。
ただ一度だけ彼は自分の意志で闘いを選んだ。結果は勝利に終わったが、その闘いで最愛の兄を亡くしたことを思えば心はむなしくなるばかりだった。
瞬はこれまで運命を受け入れてきた。城戸邸に引き取られた時も、アンドロメダ島に送られた時も、そして日本に帰ってきた時もー。アンドロメダ島での日々がどんなに辛く苦しいものでも、彼は甘んじてそれに耐え続けた。もっともそれは‘もう一度兄に会いたい’という、その願いが彼を支えていたためであった。
その兄が今はいない。瞬にとって兄の一輝は生き甲斐であり、希望であり、彼のすべてだった。思えば幼い頃から何度兄に助けられたことだろう。そして結局兄は弟救うために、自らの命を投げ出したのだ。 瞬の頬を涙が伝った。
「ごめんなさい、兄さん」
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